[Webマール]

(2024/03/12)

生成AI関連企業の法務デューデリジェンス

松尾 剛行(桃尾・松尾・難波法律事務所 弁護士)
  • A,B,C,EXコース
1 生成AIの基礎

 生成AI(generative AI)は、画像、文章、音声、動画等のさまざまなデータを生成するAIである。数年前までは、分析に利用されるAIが注目されてきた。例えばプロファイリングと言われるAIによる高度な分析技術によって、(潜在)顧客の興味や嗜好を炙り出し、最適な顧客に最適なタイミングで最適な広告を表示する技術等は、まさにAIによる分析の典型例である。もっとも、2022年夏頃からMidjourneyやStable Diffusion等の画像生成AIが大きな話題になり、同年11月には、文章生成AIであるChatGPTがリリースされた。

 生成AIが注目を集める理由の1つは、若手ビジネスパーソンなら対応できるレベルの指示を日本語で入れると、それを実行してくれるところにある。例えば、「2024年の日本におけるM&Aのトレンドは?」と聞くと、ChatGPTは、インターネット上で「2024年 M&A トレンド」で検索して、複数のサイトの情報に基づき、「中小企業やスモールビジネスや医療・介護等」と回答する(ただし、同じ質問をしても、異なる回答となることがある)。それがトレンドとして正しいものであるかはともかく、まさに皆様の部署に入ってきた若手にリサーチを依頼した場合に若手がやりそうなことをAIが実行していると言えるだろう。

 ここで、「プロンプト」と「プロンプトエンジニアリング」について説明しておきたい。もちろん、これまでのAIも、そのAIに即した指示(例えば「プロファイリングを行うように」という指示)をすれば一定のことはできたものの、その指示方法がプログラミング言語であることが多く、普通のビジネスパーソンにとっては敷居が高かった。しかし、ChatGPTの場合には、


■ 筆者履歴

松尾 剛行(まつお・たかゆき)

松尾 剛行(まつお・たかゆき)
桃尾・松尾・難波法律事務所パートナー弁護士(第一東京弁護士会)・ニューヨーク州弁護士、法学博士、AI・契約レビューテクノロジー協会代表理事、慶應義塾大学特任准教授。
2006年東京大学法学部卒業、2007年弁護士登録。2013年ハーバード大学ロースクール卒業(LL.M.)、2020年北京大学法学院博士課程卒業(法学博士)。
現在、企業法務系法律事務所のパートナーとして、M&Aを含む各種案件に従事。AI関係の実務・研究の成果を『ChatGPTと法律実務』(弘文堂、2023年)、『ChatGPTの法律』(共著)(中央経済社、2023年)等にまとめる。

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