[M&A戦略と法務]

2022年12月号 338号

(2022/11/10)

M&Aによる消費者データの活用とデータデューデリジェンス

大野 修平(TMI総合法律事務所名古屋オフィス パートナー 弁護士)
岡辺 公志(TMI総合法律事務所 弁護士)
榊原 颯子(TMI総合法律事務所 弁護士)
  • A,B,EXコース
1. 消費者データの活用を目的としたM&Aの増加

 データが「21世紀の石油」と呼ばれることもあるように、現代においては、質の良い消費者データをいかに多く獲得できているかということがビジネスの発展性を左右し得る。このような流れを反映する動きの一つとして、近年、消費者のデータの統合・活用を目的としたM&Aが増加している。例えば、異なる業種・業態の企業が各々保有する消費者データを共有することでビジネスのシナジーを生み出そうとする取組みや、オンラインとオフラインの両方で消費者動向を掴むため、オフラインの購買動向を示す消費者データを保有する企業とオンラインの購買動向を示す消費者データを保有する企業同士が業務提携を行う動きなどが挙げられる。具体的な事例として、最近の報道によると、引っ越しの際に家電の買替えが行われる点に注目した大手家電量販事業者が、賃貸物件検索のアプリの利用者情報を活用することを目的に、アプリ運営事業者に出資することを発表している。また、大手ネット通販運営会社と百貨店やスーパーマーケット等の実店舗を広く運営する事業者が消費者データを活用する共同出資会社を新設したことが発表されている。さらに、自らが保有する消費者データの活用を促進するために、データ分析会社や広告代理店等のデジタル広告に強い企業に投資し、業務提携を図るケースもある。

 このように、消費者データを活用することを目的とするM&Aが増加している一方、

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