[M&Aスクランブル]

(2022/12/23)

公正なM&A市場の整備と経産省「公正な買収の在り方に関する研究会」への期待~公正な買収ルールの実現を

マール企業価値研究グループ
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2023年春に議論を取りまとめ、指針を策定・改訂

 経済産業省は2022年11月18日、「公正な買収の在り方に関する研究会」(座長・神田秀樹学習院大学大学院教授)を開催し、「公正なM&A市場の整備」にスコープを絞った検討を開始した。従前より、「企業価値研究会」(2005年)、「公正なM&Aの在り方に関する研究会」(2018年)などを通じ、公正なM&A市場の形成を促すための取り組みが進められてきたが、企業買収の在り方について、このような制度的な議論がなされるのは久しぶりの機会だ。検討の背景として、対象会社の経営陣や取締役会の同意を得ずに行われる「敵対的買収(本資料では、同意なき買収提案(unsolicited takeover bid)と呼称)」が増加していることや、近年、買収防衛策の導入・発動及びその差止めを巡る司法判断が相次いでいることが挙げられている。

 研究会の主要な検討項目としては、大きく2点が掲げられている。①買収提案についての評価が買収者と対象会社で分かれるケースにおける当事者の行動の在り方(企業価値の向上に繋げるという観点から、対象会社の取締役会や買収者が持つべき視点、取るべき行動の整理)、②買収防衛策の在り方(近年の判例を踏まえた論点の整理、考え方の整理)――である。具体的な論点は、わが国の裁判例の位置づけの整理、買収防衛策の目的、株主意思確認総会、取締役会限りでの発動の可否、平時導入型買収防衛策をどう考えるか、等であり、多岐にわたる

 こうした点について幅広く議論した上、「来年春頃を目途に議論を取りまとめ、指針を策定(又は改訂)する」という。M&A実務に携わる関係者に、一定の影響力を与える研究会になるだろう。

「同意なき買収提案」の増加と買収防衛策の減少

 経産省の資料によれば、2021年の同意なき買収提案は9件と過去最高を記録している(2019年は6件、2020年は5件、図表)。この件数増加の背景として、外国人投資家の増加、政策保有株式の減少、アクティビストの活発な動きなどが指摘されている。それでも、日本における同意なき買収提案は海外対比で低水準にとどまる。その要因は様々であろうが、TOBの取引の性質の各国比較では国内企業同士や同業種での案件が少ない。企業価値にとってはプラスの提案であったとしても、日本においては従業員の雇用や経営の継続性などが重視され、買収提案が生じにくい環境が存在する。…


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