[M&Aスクランブル]

(2017/06/21)

TOBにおける第三者委員会の設置状況

親子間で100%、第三者間(アームズ・レングス)も4割に上昇

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 TOBにおける第三者委員会の設置の割合が増えている。第三者委員会は社外取締役や外部の有識者らで構成される取締役会の諮問機関で、構造的な利益相反関係のあるM&Aの場面では第三者委員会の設置が望ましいとされる。

 2017年1-5月に発表された日本で届け出をしたTOB案件21件のうち、第三者委員会が組成された案件は12件、57%と、2016年1年間の47%から10ポイントの増加となった。21件の内訳はMBO1件、親子間5件、第三者間(アームズ・レングス)15件。近年、親子間のTOBで第三者委員会の設置の割合が大幅に増えてきたが、今年は5件中5件と100%に達している。他方で、第三者間でも15件中6件、4割が組成されており、前年1年間の29%から11ポイント上昇しているのも注目される(図表1、2参照)。

 親子間TOBの5件は、住友不動産による住友不動産販売の完全子会社化、興和による丸栄の完全子会社化、大林組による大林道路の完全子会社化、パナソニックによるパナホームの完全子会社化、東レと三井物産による東レの子会社の曽田香料の完全子会社化。

 パナソニックによるパナホームの完全子会社化のスキームは当初、株式交換の計画(2016年12月発表)だったが、2017年4月にその手段がTOB(買付価格:1株1200円)に変更された。香港を拠点とするヘッジファンドのオアシス・マネジメントが株式交換に反対を表明。パナホームによる賛同などを条件に、1株1050円でTOBを行う意図がある旨を通知していた。これに対しパナホームは、社外取締役など4人で構成される独立した特別委員会(第三者委員会)を設置し、同委員会から得た意見を勘案し、同提案に応じるべきではないと判断した。
(詳細は「パナソニックによるスキーム変更に見る、制度環境変化のM&A実務への影響」をご参照ください)

 第三者間TOBの6件は、米KKRによる日立工機の買収、RIZAPグループによるジーンズメイトの買収、三越伊勢丹ホールディングスによるニッコウトラベルの買収、U-NEXTによるUSENの買収、富士通によるソレキアの買収、中国系のランキャピタルマネジメント(東京)による韓国系のリーディング証券(同)。うち、スクイーズアウトをするケースは米KKRによる日立工機の買収、三越伊勢丹ホールディングスによるニッコウトラベルの買収、U-NEXTによるUSENの買収、富士通によるソレキアの買収の4件。

 富士通によるソレキアへのTOB(3月17日公告)は・・・

 

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