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M&A専門誌マール

2016年01月27日(水)

西山先生のM&A基礎講座 [企業価値評価とコーポレートファイナンス]

【第3回】投資家が期待する儲けのレベルは? - 資本コストとWACCについて

 西山 茂(早稲田大学大学院(ビジネススクール)教授 公認会計士)

 第2回で見てきたように、投資家から見たDCF法による企業価値の評価やコーポレートファイナンスの考え方の中では、キャッシュフロー、中でもフリーキャッシュフローを儲けのモノサシと考えています。そのフリーキャッシュフローをベースとして、投資家はどの程度の儲けを期待しているのでしょうか?今回は、投資家の期待している儲けについて学んでいきます。

1.投資家の期待する儲け(資本コスト)とは何か

 投資家、つまり企業に資金を提供している債権者や株主が期待している儲けとは何でしょうか?銀行をはじめとする企業に資金を貸している債権者は、資金を貸すことの見返りとして金利の支払いを求めます。一方で、株主は株式投資の見返りとして、配当や株価の上昇による儲けを求めます。ただ、配当を支払ったり株価を上昇させるためには、企業はそのベースとして儲けを生み出す必要があります。つまり株主は、一定の配当や株価の上昇につながるような儲けを生み出すことを求めているのです。この債権者が求める金利と株主が求める儲けが、投資家が期待している儲けになります。これを企業の立場から見てみると、企業が資金調達を行う場合に資金提供者から求められているコストと考えることができます。これを、企業が集めた資金(資本)のコストという意味で資本コスト(cost of capital)と呼んでいます。具体的には、借りたお金、つまり借入金や社債のコストは金利になります。ただ、儲かっている企業を前提とすると、金利を支払うと利益が減り、利益の減少分に見合うだけ税金も安くなります。その結果、借入金や社債の実質的なコストは、金利からこの節税効果を差し引いた差額になります。一方で株主から預かっている資金のコストは、株主から期待されている儲け、つまり1年間で考えるとまさに株主の儲けである配当や剰余金の増加につながる当期純利益を、株主が期待しているレベルまで確保することになります。なぜなら、株主から継続して投資をしてもらい、株価を維持し上げていくためには、株主が満足するだけの儲けを確保しなければいけないと考えられるからです。

 さらに、企業は通常・・・



■西山 茂(にしやま しげる)
早稲田大学政治経済学部卒業。米ペンシルバニア大学ウォートン校よりMBA取得。早稲田大学より博士号取得。監査法人ト-マツ等にて会計監査、株式公開コンサルティング、M&A支援、人材育成などの業務に従事。
2002 年から早稲田大学で教鞭をとり、2006年から現職。会計や財務といった数字をベースに理論と実務の両面から経営を考える授業やゼミを担当している。国内主要企業の監査役を歴任。会計・財務に関する著書多数。公認会計士。

※詳しい経歴はこちら

 

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会計税務 , 企業価値評価・DD , 西山茂

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