[特集インタビュー]
2014年1月号 231号
(2013/12/15)
-- 2013年7月にヤマトホールディングスは「バリュー・ネットワーキング」構想を打ち出しました。この構想の基本的な理念はどのようなものですか。
「第2次安倍政権が掲げた成長戦略、いわゆる『アベノミクス』の3本目の矢はものづくりの復活です。これまでも日本の製造業は製造コストや人件費の削減に注力し、極めて高い水準に達しております。そのため、今後も同様の方法で国際競争力を向上させるのは大変難しいのではないでしょうか。一方、原材料の調達や製品が出荷された後のコスト・コントロールを見ますと、総在庫量のマネジメントを含め大きな課題が残ったままです。これから日本が成長戦略を進めていくための原資をどこから捻出できるか、答えは物流、ロジスティクスの分野にあると考えます。そこに光をあてていくというのがこれからの大事なポイントです。今まで物流はどちらかというとコストセンターという位置づけで、いかにコストを下げるかという発想が中心でした。その点で、日本の物流は国際水準と比較して遅れていると言えます。物流を単なるコストではなく、価値(バリュー)を生み出す手段に変えるという発想により、これからの成長戦略に資する『物流の改革』を実現しよう、物流を『価値(バリュー)を生み出す手段』に進化させ、日本経済の成長戦略を支える新たなイノベーションにしようということで、価値(バリュー)を生み出すネットワーク(Network)が常に現在進行形(ing)で進化していく、この全体構想を『バリュー・ネットワーキング』構想(“Value-Networking” Design)と名づけました」
-- ヤマトホールディングスは2019年に創立100周年を迎えますが、これまでに2回の大きなイノベーションを実現してきました。1929年の1回目のイノベーションでは複数の顧客の荷物を積み合わせて定期定区間を運行する『路線事業』を日本で最初にスタートさせました。2回目のイノベーションは1976年の『宅急便』。今回打ち出された構想は、第3のイノベーションとしてはどのようなことを行うのでしょうか。
「今回のイノベーションでは、いま申し上げた『バリュー・ネットワーキング』構想として『事業構造』とそれを支える『事業基盤』の改革を行っています。
『事業構造』の改革ですが、今まで当社は『宅急便』をはじめとした『to C』つまり『個人宛て』の事業分野において小口・多頻度・スピード輸送といった強みを培ってきました。今後はこの強みを更に磨き、『B to』、つまり企業の物流についても価値(バリュー)を生み出す手段に進化させるグローバルな総合物流企業を目指して大きく前進したいと考えています。
そのための『事業基盤』の改革として、われわれは約6年をかけて4つの「ネットワークの改革」を推進してきました。それは、①国内主要都市間の当日配達を実現する『ゲートウェイ』の構築、②アジアを中心とした海外と日本の結節点となる総合物流ターミナル『羽田クロノゲート』、③アジアへの翌日配達を実現する『沖縄国際物流ハブ』、④『アジアにおける宅急便ネットワーク』の構築です。
この事業構造と事業基盤の2つの改革によってわれわれが目指している構想を一言で表したのが『バリュー・ネットワーキング』構想なのです」
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