[クリーンテックと欧米エネルギー企業の最新M&A動向]

(2022/11/21)

【第10回】欧米電力大手、仏エンジー(Engie)のM&A戦略(後編)

出馬 弘昭(IZM代表)
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 前回は、仏ガス電力大手のEngieのクリーンテック分野の活動のうち、CVC子会社のEngie New Ventures(ENV)でのスタートアップ投資を紹介した。今回、Engie本体でのスタートアップ投資とM&Aの事例を紹介する。

Engie本体でのスタートアップへの投資

 Engieは2014年以降、29件のスタートアップへの投資実績がある。前編で紹介したENVの投資先と重複しない主なスタートアップを紹介する。

 2014年、インドでオフグリッド(住宅内で使われる電力を自給自足で賄う発電の仕組み)のサービスを展開する印Mera Gao Power(2010年創業)と印Simpa(2010年創業)に投資した。これがEngieにとってのオフグリッド事業参入の始まりであった。

 オフグリッドの基本的な仕組みは、電力網(グリッド)のない地域の家庭など向けに、ソーラーパネルと蓄電池をセットでリースするものが多い。これにより、電力消費量の少ない家電(照明、携帯電話充電、ラジオ、テレビなど)が使えるようになる。アフリカの未電化地域でも携帯電話・スマートフォンが普及していることは良く知られている。ソーラーパネルと蓄電池のリース料金は、携帯電話料金に上乗せして回収するビジネスモデルが取られることが多い。その場合、リース契約終了後はソーラーパネルと蓄電池は譲渡されることが多い。

 Engieによるオフグリッド投資は、以下の通りである。

■ 筆者履歴
IZM代表 出馬 弘昭出馬弘昭(いずま ひろあき)
IZM代表。1983年京都大学工学部物理工学科卒業。大阪ガスに入社し、同社R&DおよびIT部門でデータ分析、行動観察、オープンイノベーション事業などを立上げ。2016年より米シリコンバレーに駐在し、欧米のクリーンテックとのビジネス開発を開拓。2018年に東京ガスに入社し、シリコンバレーのCVC立上げに参画。2021年に帰国し、東北電力に入社し、事業創出部門のアドバイザーに従事。製造業やコンサルティング大手などの外部顧問、海外スタートアップの日本展開支援なども務める。2022年、大阪大学フォーサイトの取締役に就任。南カリフォルニア大学ロボット研究所客員研究員、京都大学非常勤講師、大阪市立大学非常勤講師、日本オペレーションズリサーチ学会副会長などを歴任。
大阪大学フォーサイト
https://ou-foresight.com

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