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[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2020年11月号 313号

(2020/10/15)

第187回 電気工事業界~電力会社系電気工事会社は小型のM&Aにより事業領域や営業エリアを拡大

澤田 英之(レコフ 企画管理部 リサーチ担当)
1. 電力会社系電気工事上場9社の設立経緯・概況

 本稿では上場している電力会社系の電気工事9社(図表1参照)の設立経緯・概況と、この中で、ここ数年比較的積極的にM&Aを行ってきた企業の動向について述べてみたい。

(図表1)電力会社系電気工事上場9社(売上高順)
企業名等親会社等売上高
関電工(東京都、東証1部)東京電力HD持分法適用関連会社(47.2%株式保有)6,161億円
きんでん(大阪府、東証1部)関西電力持分法適用関連会社(34.8%株式保有)5,859億円
九電工(福岡県、東証1部)九州電力持分法適用関連会社(22.7%株式保有)4,289億円
トーエネック(愛知県、東証1部)中部電力子会社(51.9%株式保有)2,248億円
ユアテック(宮城県、東証1部)東北電力子会社(42.3%株式保有)2,028億円
中電工(広島県、東証1部)中国電力持分法適用関連会社(39.1%株式保有)1,689億円
四電工(香川県、東証1部)四国電力持分法適用関連会社(32.2%株式保有)827億円
北海電気工事(北海道、札証)北海道電力子会社(55.81%株式保有)594億円
北陸電気工事(富山県、東証1部)北陸電力子会社(50.2%株式保有)499億円

(注)HDはホールディングスの略。有価証券報告書等より作成

 各社の有価証券報告書に記載されている沿革をみると、四電工を除いた8社は第2次世界大戦中の1944年に、電気工事業整備要綱に基づいて電気工事会社数社が統合し発足している。また、四電工についても同年一度は同様の形で四国電気工事という会社が設立されたが、翌1945年に解散。その後、1963年に再度電気工事会社数社が統合し発足した。

 1937年に日中戦争が始まり、これを契機に電力は国家管理されることになった。1939年には全国の発送電事業を一手に引き受ける国策会社の 「日本発送電」が発足し、1941年には「配電統制令」が公布され、全国9地区それぞれに配電会社が設立された。1944年には軍需省電力局が、電気事業関連施設の建設・維持のため全国9地区ごとに電気工事業者を統合し配電会社専属の工事会社設立を目的とする「電気工事業整備要綱」を発表した。前述した1944年の電気工事会社統合と発足はこれに基づくものである。

 旧東京電力(現東京電力ホールディングス)の実質的な前身である関東配電は、関電工の設立時に資本参加をしており、関電工は東京電力設立後の電力需要急増への対応に向けた設備拡充工事に総力をあげて取り組んだ。筆者は試みに容易に入手できる範囲で電気工事上場9社の有価証券報告書を遡及したところ、当時から筆頭株主は地元の電力会社であり、関電工以外の8社についても電力会社と電気工事会社は密接な関係を継続してきたことが確認できる。

(図表2)上場9社 筆者遡及調査による当時の筆頭株主
企業名等筆頭株主(株式保有比率、年月)
関電工(東京都)東京電力(35.82%、1961年3月末)
きんでん(大阪府)関西電力(42.786%、1969年3月15日)
九電工(福岡県)九州電力(25.84%、1971年10月末)
トーエネック(愛知県)中部電力(39.62%、1971年9月末)
ユアテック(宮城県)東北電力(40.70%、1978年3月末)
中電工(広島県)中国電力(20.72%、1970年9月末)
四電工(香川県)四国電力(19.50%、1975年10月末)
北海電気工事(北海道)北海道電力(44.88%、1993年9月末)
北陸電気工事(富山県)北陸電力(35.26%、1987年3月末)

(注)有価証券報告書より作成

 一言で電気工事といっても、火力・水力発電所内の電設工事や原子力発電所の電気設備工事、発電所と変電所や変電所同士を結ぶ送電線及び配電線工事、また、オフィスビルやホテル、デパートといった建築物の電気設備工事など、その幅は広い。9社はそれぞれ各地域の電力会社と連携しながら施工に関わる技術力やノウハウを蓄積した。

 一方で9社の売上高における電力会社向け構成比は、

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