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[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2021年2月号 316号

(2021/01/18)

第190回 建設コンサルティング業界 ~長期的には公共投資抑制が見込まれる中、国内同業同士のIN-INや海外事業拡大に向けたIN-OUTが活発に

澤田 英之(レコフ 企画管理部 リサーチ担当)
1. はじめに〜建設コンサルティング業界の概要

 建設コンサルティングとは、ダム建設や道路整備、都市開発といった主に公共工事において建設会社による施工のベースとなる調査、計画、設計などを行うことであり、これを事業とする業者を建設コンサルタントという。

 第二次世界大戦前の日本における社会資本の整備は、調査、計画、設計などを含めて行政によって直接実施されてきたが、戦後、復興に向けて事業量が急速に拡大し民間技術力活用のニーズが拡大した。公共工事における公正性や価格の透明性を確保するため、設計と施工を異なる者によって実施する設計・施工の分離が原則とされた。これが建設コンサルタントの確立と発展の礎になった。

 1977年には国土交通省が建設コンサルタント登録制度を定めた。これに登録すれば建設コンサルタント会社の業務内容が発注者等に開示される。2019年度末現在の登録企業数は3957社で、このうち資本金1億円未満の法人や個人の割合が9割近くを占めており中小企業の占める割合が大きい。一方で、売上規模が数百億〜1000億円の企業も存在している(図表1参照)。本稿では図表1で示した大手・有力企業のM&A動向と、ここから得られるインプリケーションについて述べてみたい(文末※1参照)。


2. リーディング・カンパニーの日本工営はM&Aにより事業領域を拡大

 M&Aにより事業を強化・拡大してきた建設コンサルタントが業界のリーディング・カンパニーである日本工営だ。同社は戦前、朝鮮半島の電源開発事業に従事し、終戦を迎え日本に帰国した技術者によって1946年東京都に設立された。

 同社は1946~60年代を「創業期」、1970~80年代を「発展期」、1990~2000年代を「成熟期」、そして、2010年代~現在を「革新期」と位置付けている(文末※2参照)。

 「創業期」には、国内では戦後の復興に向けた電源開発や電力供給施設整備に携わり、海外ではベトナムやビルマで水力発電のコンサルティングを開始した。「発展期」には、電力だけではなく農業、河川、交通・運輸、都市インフラ等に事業を拡大する総合化戦略を展開した。この間、2度発生した石油ショックの影響を受けながらも、公共投資やODA(政府開発援助)の増加もあり国内外での地位を固めていった。「成熟期」にはバブル崩壊によって公共投資やODAが減少し、電力会社による設備投資も減少した。この間、同社は将来を見据えた技術開発力の強化に向けて中央研究所を開設し、また、海外ではインドネシアやインドなどに事務所や現地法人を開設。国内で複数の有力同業を買収したのもこの時期である。「革新期」には、新興国での人口増加による都市問題の台頭や、地球温暖化による大規模災害の発生などを受け、都市計画・建築設計事業や再生可能エネルギー関連事業に進出。事業領域拡大のために積極的にIN-OUTを行った。

 図表2は日本工営のこれまでの主要なM&Aである。

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