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[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2021年4月号 318号

(2021/03/15)

第192回 紳士服業界 ~コロナ禍で市場縮小が加速、事業多角化の動向とM&Aの展望

田城 謙一(レコフデータ 編集委員)
はじめに

 紳士服業界はビジネスウエアのカジュアル化等の流れによりスーツの需要が減少しており、コロナ禍でのテレワークの進展で、この動きがさらに加速している。

 また、需要がコロナ禍前の水準に戻ることは想定しづらいとの見方がある中、コア事業である紳士服販売の事業を再構築しつつ、他の事業領域への業態転換を図ることも模索していく必要がある。以下では、紳士服大手各社の事業の多角化の状況やそれに伴うM&Aの動向を確認したうえで、今後のM&Aの展望について検討してみる。


1.需要動向

 総務省の家計調査によると1世帯当たりの背広服への年間支出金額は、1991年の1万9043円をピークに右肩下がりで推移しており、2001年に1万円を下回り、クールビズが始まった2005年には7000円台となっている。さらに、東日本大震災での原発事故による電力不足を機に、クールビズが5月から実施されはじめた2011年には4545円まで低下し、年間支出額は、20年間で実にピーク時の4分の1まで低下したことになる。ただ、その後は5000円前後で推移しており、減少のペースは緩やかなものとなっていたが、コロナ禍でのテレワークの普及等に伴って2020年は2893円と3千円を下回る水準まで大幅に低下した(図表1)。

 業界最大手の青山商事は、事業環境の認識として「テレワーク等が進み、ビジネスウェアのカジュアル化が5〜10年前倒しされた。コロナ後に、スーツ市場が、コロナ前の⽔準に戻る想定は困難」との見方を決算説明会で示しており、コロナ禍による消費行動・生活様式の変化が紳士服業界に大きな影響を与えていることは間違いない。


2.紳士服大手の多角化とM&Aの状況

 紳士服業界では、コロナ禍以前から労働人口の減少、ビジネスウエアのカジュアル化といった流れにより、市場の縮小が懸念されていた。このため、事業の多角化は従来から各社の課題のひとつであった。そこで以下では各社の事業の多角化並びにM&Aの活用状況についてみていく。

(1)青山商事

 青山商事は、スーツ・ジャケット・スラックス・コート・フォーマル等の衣料品を販売するビジネスウェア事業の売上が7割を占めている(2020/3期)。そのほかでは、100円ショップ「ダイソー」を112店(2020年8月末時点)展開する雑貨販売事業や「ミスターミニット」ブランドで靴修理、鍵複製等を行う総合リペアサービス事業並びに「焼肉きんぐ」「ゆず庵」等のフードサービス事業等で事業の多角化を図っている(図表2)。

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