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[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2021年9月号 323号

(2021/08/16)

第197回 繊維業界 ~M&Aによって変貌を遂げてきた老舗の繊維会社(上)

澤田 英之(レコフ 企画管理部 リサーチ担当)
1. はじめに

 明治時代の繊維業界勃興期、綿や羊毛といった天然繊維の加工を祖業とする繊維会社が次々と設立された。当時設立された老舗企業の多くは、1960~70年代、合成繊維の台頭やニクソンショック(1971年)による円切り上げに伴う輸入品の増加、また、2度にわたるオイルショック(1973年、1979年)の発生などによって難しい経営の舵取りを余儀なくされた。しかしながら、厳しい事業環境に直面しながらも事業構造を転換し、生き残ってきた老舗企業は少なくない。

 筆者はレコフデータが1985年から収録しているレコフM&Aデータベースにより、老舗の繊維会社のM&A動向を調べてみた。事業構造の転換にM&Aがどの程度活用されてきたのかに関心があったからである。その結果、最も積極的にM&Aを行ってきた企業は日本毛織であり、以下、日清紡ホールディングス、東洋紡、倉敷紡績がこれに続いた(文末※1参照、各社の概要は図表1参照)。本稿では各社のM&A動向について調査したことを、3回に分け述べてみたい。

(図表1)各社の概要
企業名
(上場市場)
設立年売上高
(前期実績)
特色
日本毛織
(東証1部)
1896年
(明治29年)
1049億円祖業は羊毛紡績。事業は衣料繊維の他、産業機材、ショッピングセンターやスポーツ施設運営、Eコマースなど
日清紡HD
(東証1部)
1907年
(明治40年)
4571億円祖業は綿紡績。M&Aでエレクトロニクスが中核事業となり、自動車用ブレーキ摩擦材でも世界トップクラス
東洋紡
(東証1部)
1882年
(明治15年)
3374億円祖業は綿紡績。フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなどへ事業領域を拡大
倉敷紡績
(東証1部)
1888年
(明治21年)
1222億円祖業は綿紡績。織布や高機能繊維製品、また、自動車内装材や機能フィルムといった化成品事業などを展開

(注1)東洋紡は1914年に大阪紡績と三重紡績との合併により設立されており、図表1では大阪紡績の設立年を含めた
(注2)HDはホールディングスの略。各種資料より作成


2. 日本毛織の動向

(1)M&Aにより事業領域を拡大

 日本毛織は1896年に神戸市で羊毛による毛織物メーカーとして設立され、リーディング・カンパニーとして同業界を主導してきた。しかし、1970年代に羊毛繊維(ウール)における国際競争激化などに直面し1974~75年に赤字に転落。また、将来的にも人口増加頭打ちなどによってウールの国内需要減少が懸念されたことなどから、事業領域を拡大し強化してきた。

 現在、同社の事業セグメントは祖業をベースとする衣料繊維の他、産業機材、人とみらい開発、生活流通、その他(医療機器販売等)の5つに分類されており、それぞれの分野でM&Aを活用してきた(図表2参照)。2020年11月期(以下「前期」という)の連結売上高は1049億円であり、この中で、衣料繊維の売上構成比は30%(314億円)というレベルで、この他の事業による売上高が残りの70%を占めている。以下、各事業の概況について触れてみたい。

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