[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2015年7月号 249号

(2015/06/15)

第125回 出版業界――市場の縮小が業界再編と新事業勃興の原動力となる

マール企業価値研究グループ
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1.はじめに

  アメリカのニュース雑誌「TIME」は2015年4月16日、今年の「世界で最も影響力のある100人」を発表した。日本人からは「人生がときめく片づけの魔法」(サンマーク出版)の著者で、片づけコンサルタントの近藤麻理恵氏が選ばれた。アメリカ大統領のバラク・オバマ氏、経済学者のトーマス・ピケティ氏、ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイ氏などが100人に名を連ねた。同書は、日本国内でシリーズ192万部、欧米、アジアなど15か国で次々と翻訳出版され、現在、世界でシリーズ累計300万部の大ベストセラーとなっている。そして今後発売される地域を含めると、翻訳版は、30か国以上となることが見込まれ、更に販売部数を伸ばすものと考えられる。

  さて、多くの方がご存じのように、このような成功事例はほんの一部で、国内の出版業界は長い低迷期にある。メディア等の報道によれば、雑誌や書籍など出版物の推定販売金額は、2014年に約1.6兆円となり、ピーク時の1996年に比べ、約40%減少した。

  インターネットの普及によって多くの情報が無料かつ便利な方法で取得できるようになったことや、若者の読書離れその他消費者ニーズの変化が販売部数の減少の大きな要因といわれており、更に近年のスマートフォン利用者の増加が減少のスピードを速めている。その他、アマゾンをはじめとするネット通販企業が書籍販売事業を拡大したり、中小規模の書店が閉鎖されるなど、ここ20年で出版業者を取り巻く経営環境は劇的に変化している。

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