[編集部から]

2017年4月号 270号

(2017/03/15)

次号予告と編集後記(2017年4月号)

次号予告

2017年5月号
特集:「ビジネスデューデリジェンスの実際」       
2017年4月17日発売予定

※内容は変更されることがあります。タイトルは仮題です。

編集後記


■海外企業買収がいかに難しいか。東芝のウエスチングハウス(WH)買収もその代表的事例となりそうです。多額の減損に至った契機は、WHが15年12月に原子力建設・サービスの米・CB&Iストーン・アンド・ウェブスター社(S&W)を買収したことにあるようですが、WHとS&Wがどうなっているのか、いまだによく分からないなど、WHへのガバナンスの欠陥がことの本質との指摘が多いようです。WH買収は2006年。戦略は明確で、原発部門のグローバルでの飛躍的拡大。GEや三菱重工業など日米4社と競合するなど、ディール成約優先となったであろうことは想像に難くありません。買った後の経営がもっと大事ですが、世界一の原子力メーカーを自負するWHから見れば、上から目線。東芝も任せるしかないという状況だったと思われます。「どこを押さえて、どこを任せるか」。大型海外買収が本格化し始めた06年当時は、バブルの処理も終わって、さあ海外へという時期でもあり、海外M&Aにおけるガバナンスの重要性の認識や実践経験・スキルのレベルは、企業によってまだら模様であったと記憶します。とはいえ、「高すぎた授業料」では済みません。買った後が大事だと改めて思い知らされます。(朱鷺)

■豪華な船旅から都内バスツアーまで載っている旅行会社のパンフレット。申し込まないくせにいつも楽しく眺めています。
今日の旅行業の発祥は18世紀末の英国だとか。産業革命下の当時、低賃金を強いられた労働者の間ではアルコール度数の高いジンが流行し、深刻な社会問題に発展。これに対し、禁酒運動が始まっていました。この活動に熱心だったトーマス・クックは参加者を増やすため飲酒に代わる娯楽を提供しようとある企画を立てます。これが団体旅行の始まりと言われる「貸切列車で行く昼食付イベント盛りだくさん禁酒大会へのおでかけ」で、参加者はなんと570人。その後もクックは大好評を博したこの格安日帰り旅を禁酒運動の一環として何度も開催、旅のプランナー兼コンダクターとして腕を磨きます。1845年に初めて事業として旅を企画、成功させると51年のロンドン万国博へは16万人を動員したそうです。
次期オリンピック会場にも選ばれ、観光立国を目指す日本。クック曰く、旅によって遠隔地の人々との友好が深まれば世界平和に貢献できる、と。テロに対する安全対策は万全を期すべきですが、訪れる人々を温かく迎える国でありたいと思います。(本)

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