[M&Aフォーラム賞]
2010年12月号 194号
(2010/11/15)
12作品が応募
M&Aフォーラム賞選考委員会は、2009年度(平成21年度)「第4回M&Aフォーラム賞」に下表の3作品を選定した。
「M&Aフォーラム」は、05年10月の内閣府経済社会総合研究所の「M&A研究会」による中間報告において民と官との連携ができる民間ベースのフォーラムが提唱されたのを受けて05年12月に設立された。理論的、実証的及び実務的な視点から、進歩、変化するM&A事情の研究・調査を行い、今後のわが国におけるM&Aのあり方について提言を行うとともに、主に企業人を対象にした「M&A人材育成塾」の運営等の活動を通じて、M&Aの普及・啓発、人材や市場の育成に資することを目的としており、さまざまな関係分野の有識者、実務専門家、企業関係者が参加する場となっている。
M&Aフォーラム賞は2000年度に「M&Aに関する社会科学的観点からの研究論文の執筆で顕著な業績をあげた学生・院生を顕彰する懸賞論文制度」としてレコフが創設した『RECOF賞』が前身で、M&Aフォーラムからの強い要請もあり、学識経験者、行政担当者、M&A専門家、企業関係者(実業界)ならびに大学院、大学、各種専門学校を含めた学生にいたるまで幅広い分野に対象を広げ、新たにM&Aフォーラム賞『RECOF賞』として引き継がれた。
4回目となった今回のM&Aフォーラム賞には学識経験者から3作品、法律事務所から3作品、税務会計系事務所から3作品、コンサルタントから2作品、実業界から1作品の合わせて12作品の応募があり、大杉謙一・中央大学法科大学院教授、西山茂・早稲田大学ビジネススクール教授、丹羽昇一・レコフデータ執行役員の3人の委員によって選考が行われた。
10月5日に行われた表彰式で、落合誠一・M&Aフォーラム会長(中央大学法科大学院教授、東京大学名誉教授)は、今回の選考経過について「M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』に選ばれた『暖簾の会計』は、M&Aに深くかかわり現代的なテーマである“暖簾”をテーマとした研究で、学術的にも高く評価されること。さらに、著者が専修大学の准教授であり、RECOF賞の生い立ちが若手の登竜門的存在であったことからも正賞に相応しいとの評価でありました。また、M&Aフォーラム賞奨励賞『RECOF奨励賞』の2編のうち『バイアウト 産業と金融の複合実務』の著者はわが国のM&A業界の第一人者であり、“バイアウト”をテーマにした著作は今までに類書を見ないもので実務、理論ともに非常にレベルの高いものであること。また、『税務・法務を統合したM&A戦略』は、M&Aにおいて重要な税務、法務をできるだけ結びつけて書かれていることが意欲的であり実務にも役立つところが大きい点が高く評価されました」と述べ、「リーマン・ショックを契機に世界景気は急速に冷え込み、09 年の世界経済成長率は戦後初めてのマイナスを記録しております。このような環境の中で、わが国のM&A市場も停滞を余儀なくされております。しかし、一方で、中国をはじめとする新興国の経済成長は目覚ましく、わが国企業のアジア地域へのM&Aによる進出は急激に増加しております。M&Aはそのときの情勢にあわせ企業の成長・発展に向けた戦略上重要な手法としてなくてはならないものになっております。M&A フォーラムも徐々にではありますが活動の範囲も拡大しており、実績も積み上げられてきております。皆様には、本フォーラムの趣旨をご理解賜り、今後ともご支援のほど、お願いたします」と締めくくった。
受賞作品
◆ M&A フォーラム賞正賞『RECOF 賞』
『暖簾の会計』 山内 暁 著 (中央経済社)
◆ M&A フォーラム賞奨励賞『RECOF 奨励賞』
『バイアウト 産業と金融の複合実務』
佐山 展生、山本 礼二郎 共著
(日本経済新聞出版社)
◆ M&A フォーラム賞奨励賞『RECOF 奨励賞』
『税務・法務を統合したM&A戦略』
大石 篤史、小島 義博、小山 浩 共著
(中央経済社)
――4月1日「オリックス・クレジット」から「ドコモ・ファイナンス」に社名変更
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