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[M&A戦略と会計・税務・財務]

2013年11月号 229号

(2013/10/15)

第77回 金融所得一体課税の個人投資家へのインパクト

 箱田 晶子(税理士法人プライスウォーターハウスクーパース ディレクター)

1.はじめに

  最近の税制改正で、個人、特に高い所得階層の個人への課税が強化されている。具体的には、所得税最高税率の引き上げ、相続税・贈与税の課税ベースの拡大、消費税の引き上げ等である。

  そんな中、個人への金融所得に対する課税については、税負担の違いに左右されずに金融商品を選択できるよう、課税をできるだけ一本化すること、すなわち金融所得課税一体化に向けて議論が進められてきた。特に、「貯蓄から投資」への政策要請の下での投資環境の整備、金融商品間の中立性の要請(課税の中立性)、かつ、簡素で分かりやすい税制の観点から、金融所得間での課税方式の均衡化、損益通算の範囲拡大等が検討されてきたところである。

  この金融所得課税の一体化の一環として、平成25年度税制改正において、公社債等に関する課税が大きく見直され、2016年以降、株式並みに20%の申告分離課税とすること、かつ、上場株式等に係る所得との損益通算を可能とすることとされた。2014年1月1日から上場株式等の譲渡所得等・配当所得に対する税率が20%の本則に戻ることと相俟って、金融所得課税の一体化へ大きく前進することになる。

  本稿においては、居住者たる個人に対する金融所得の課税関係について現行の取り扱いについて概観し、税制改正の内容について記載する。

2.金融所得の課税の仕組み

  現行の所得税法上、所得は10種類の各種所得に分類され、所得分類ごとに所得の金額を計算することとされている。一口に金融商品といっても様々な商品があるが、税務上は特に「金融所得」という所得分類があるわけではない。金融所得は、所得税法上、主に利子所得、配当所得、譲渡所得に分類されているが、中には、一時所得や雑所得とされているものもある。

  具体的には、所得区分ごとに、以下のような金融所得が該当することとされている。

所得分類

含まれる金融所得(例示)

現行の課税方式
(原則)

利子所得

預貯金の利子、公社債の利子、合同運用信託および公社債投資信託の収益の分配

20%源泉分離課税

配当所得

株式の配当、投資信託(公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託を除く)の収益の分配

総合課税。上場の場合、
20%申告分離課税(注1)
または申告不要も可

株式等に係る
譲渡所得等

株式、投資信託(公社債投資信託および公社債等運用投資信託を除く)の譲渡による所得

20%申告分離課税
(注1)

譲渡所得
(一般)

公社債、公社債投資信託の譲渡および公社債等運用投資信託による所得

非課税
(一定の例外あり)

雑所得

公社債の償還差益
外貨建取引に伴う為替差損益

総合課税

一時所得

保険の満期返戻金、満期受取金

総合課税(特別控除後)

先物取引に
係る雑所得
等の金額

デリバティブ先物の決済差損益

20%申告分離課税

  (注1) 上場株式については、2013年12月31日までは10%の軽減税率が適用。
  (注2) 復興特別所得税が別途課される。

  平成25年度税制改正において、上記のうち公社債等についての課税が、2016年以降、株式と同様に課税されることに変更されたが、これは上記の所得区分を変更するものではない点留意が必要である。すなわち、金融所得一体課税といっても、所得区分まで同一にするものではなく、異なる所得区分(例えば、公社債の利子は利子所得、株式の配当は配当所得として分類)のまま、同様の課税方式や適用税率が適用され、損益通算も可能となる。

  以下では、上記のうち、株式および公社債に関する所得についての居住者たる個人に対する課税関係を記載する。なお、2013年から2037年まで、所得税に対し2.1%の復興特別所得税が課されるが、以下においては所得税本来の税率を示す。また、国内の金融資産からの所得についての取り扱いを記載する。

  

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