アイ・シグマ・キャピタル(アイ・シグマ)は2000年に丸紅によって設立された
PEファンド運用会社。“商社系ファンド”として、丸紅とそのグループが持つ知見と機能を、投資先企業の発掘や成長支援に活かしているのが特徴だ。
2025年4月に代表取締役社長に就任した髙山晋氏に、アイ・シグマの運用の詳細とM&Aマーケットの見通しを聞いた。
投資ファンドと総合商社の強みを融合 ―― アイ・シグマとはどのようなPEファンド運用会社なのでしょうか。
「当社の母体にあたる丸紅は、国内バイアウトファンド黎明期の1997年にアドバンテッジパートナーズと共同でファンドを設立し、30年近くバイアウト投資事業に取り組んできた『業界の老舗』です。
アイ・シグマの設立は2000年で、もともとはベンチャーキャピタル投資を行う会社として創業したのですが、2006年に丸紅からバイアウトファンド運営業務を移管した後、2008年に単独でバイアウトファンドの運用を開始したことが『第二の創業』とも言える大きな転機となりました。それ以降は4~5年の間隔でファンドを組成しています。『投資ファンドと総合商社の強みを掛け合わせた特色のあるバイアウト投資を通じ、事業承継をはじめとする日本の中堅・中小企業の課題解決に貢献していく』というのが第二の創業時に掲げたコンセプトで、これはいまも全く変わっていませんし、今後も変えるつもりはありません。
運用実績としては、2008年に組成した1号ファンドは総額135億円で5件に投資、2013年に組成した2号ファンドは総額203億円で7件に投資し、成功裏に清算を迎えました。2018年に組成した3号ファンドは総額318億円、投資件数は8件で、経営支援や事業支援にも目処が立ち
イグジット活動が進んでいます。現在投資期間中の4号ファンドは2022年に立ち上げた500億円規模のファンドで、これまで5件に投資を実行しています。1号ファンド設立以来、ファンドの運用成績は良好に推移しています」
■髙山 晋(たかやま・しん)
アイ・シグマ・キャピタル 代表取締役社長。アイ・シグマ事業支援ファンド3号/4号 運営責任者/投資委員。丸紅入社後、為替・金利・株式のディーリング業務、PE事業、リース事業、IT事業等に従事し、直近では部長として保険事業を管轄。アイ・シグマ事業支援ファンド1号の創設メンバーであり、同ファンドの投資担当者として、寿製作所、ゴールドパックの投資実行を主導。