[M&A戦略と会計・税務・財務]

2016年5月号 259号

(2016/04/15)

第107回 租税回避を巡る最近の裁判事例

 荒井 優美子(PwC税理士法人 タックス・ディレクター)
  • A,B,EXコース

1.はじめに

  平成28年2月、法人税法における同族会社の行為計算否認規定(法人税法132条) の解釈を巡る最高栽の決定と組織再編に係る行為計算否認規定(法人税法132条の2)の解釈を巡る最高栽判決が出された。同族会社の行為計算否認規定の創設は古く、大正12年の所得税法の中に法人の所得課税の規定として設けられたものであり、裁判例も昭和26年に遡る(東京地裁昭和23年(行)第60号租税処分取消並びに不当利得返還請求事件)が、本件丙事件では、課税処分取り消しの金額(約1200億円)の規模の大きさから、裁判の動向が注目されていたものである。他方の甲事件・乙事件は、平成13年度税制改正により、132条の枝番として創設された組織再編に係る行為計算否認規定の解釈が争点とされた初めての事案であり、組織再編における租税回避の司法判断として、世間の注目を集めていた事例といえる。本稿では、本件事案の判決が今後の企業活動にどのような影響を及ぼすか、その留意事項等を検討する。

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