[産業構造の変化に対応するM&Aの実務]

2014年1月号 231号

(2013/12/15)

第19回 中国の消費者は日本企業の産業に変化をもたらすのか

 島田 英海(EYトランザクション・アドバイザリー・サービス ディレクター)
  • A,B,EXコース

  中国の消費者の購買力の伸びは著しいものがあります。巨大な中国市場に参入した日系企業はどのような地位を築いているのでしょうか。中国の消費動向を顕著に示す生活商品を例にとって、中国市場におけるシェアの状況(一定の仮説に下に作成)を検討します。また、日本企業の競争力の源泉となる要素と差別化のポイントを洗い出してみます。そして、日本企業の構造変化を促す中国市場に必要な検討事項について、羅針盤の役割を求められているアドバイザーの役割に言及していきます。

1. はじめに

  日系企業の多くが注目し、市場参入にチャレンジしている13億人の巨大消費者を持つ中国はどのような状況にあるのでしょうか。今回は、解り易くするために中国の消費者を市場ターゲット別(成人男性、成人女性、子供)に検討してみます。対象となる商品としては、生活に密着した成人男性向け整髪料、成人女性向け化粧品、子供用スキンケア(石鹸・クリーム・ウェットテッシュー等)の3つを例に取ることとします。尚、これらの市場の概況及びデータは、一定の仮説に基づいて当社が作成したものであり、公式の統計データではありません。

2. 中国の生活用商品

(1) 中国の商品市場の例
図表1:市場ターゲット別の商品市場   中国の成人男性向け整髪料、成人女性向け化粧品、子供用のスキンケアの3つの商品市場を例にとった場合、中国の消費者は、中国、欧米、日本のブランドに対してどのような購買傾向があるのでしょうか。(図表1参照)
  成人男性向けの整髪料は中国企業の低価格商品が全国に浸透し、欧米ブランドの商品は都市部で人気があります。日本ブランドは高級品のイメージです。
  また、成人女性向けの化粧品は、中国の低価格ブランドがあらゆる階層に浸透し、様々な企業が乱立していますが、欧米ブランドも大きな伸びを見せています。日本の化粧品はプレミアム付の商品として中国の都市部の消費者にアピールしています。
  最後に子供向けのスキンケアは欧米企業が新しく開拓した産業で、今後も急成長が見込まれる分野です。日本企業は、乳幼児向けティシュー、スキンクリーム、赤ちゃん専用の石鹸などのきめ細やかな消費者ニーズに応える商品を投入し、成長分野と位置づけています。

 

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