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[M&A戦略と法務]

2012年8月号 214号

(2012/07/15)

TOBに対する賛同・応募推奨の判断基準

宮下 央(TMI総合法律事務所 弁護士)

1 はじめに

公開買付け(TOB)が行われる場合、その対象となった会社(対象会社)は、当該TOBに対する意見を表明しなければならない(注1)。対象会社がTOBに対していかなる意見を有しているかということは、株主が当該TOBに応募するかどうかを判断する上で重要な情報であるため、対象会社の取締役は、どのような場合にどのような内容の意見を表明すべきかについて慎重な判断が求められる。本稿では、対象会社の取締役がTOBに対する意見を決定する際の基本的な考え方を整理することを試みたい。

前提として、対象会社が表明すべきとされている意見の内容を確認する。
対象会社が表明する意見の内容は、(1)TOBそのものに対する賛同・反対と、(2)株主が当該TOBに応募することを勧めるかどうかの2点に分かれる(さらに細かく分けると、(2)は、新株予約権がTOBの対象になっている場合、株主に対する意見と新株予約権者に対する意見が別になることがあるが、話を単純にするため、本稿では、普通株式のみを発行している対象会社を念頭において論じる。)。
「意見」というと、賛同・反対の意見((1)の意見)がまず頭に思い浮かぶかもしれないが、法令により明らかにすることが求められている意見は、応募することを勧めるかどうかの意見((2)の意見)であるとも解される(注2)。実務上は、かつては、(1)の意見のみを記載する(あるいは、(1)と(2)の違いがあまり意識されなかった)のが一般的であったが、次第に(1)の意見と(2)の意見の違いが認識されるようになり、現在では、ほとんど全ての事例において、(1)(2)の意見を区別して両方記載するようになっている。

(1)の意見については、通常、ほとんどの事案において賛同の意見が表明される。これは、少なくとも現在の我が国においては、通常の公開買付者にとって敵対的TOBは初めから選択肢になく、また、買収資金をローンにより調達する場合、対象会社の賛同が得られることが条件となっているのが通常であるため、対象会社が(1)の意見について賛同するかどうかが不確かである場合、そもそもTOBが実施されないからである。これに対し、(2)の意見については、実務上、応募を勧める場合とそうではない場合(その場合、一般的には「応募するかどうかの判断を株主に委ねる」旨の意見となる。)のいずれもあり得る。直近1年間(平成23年6月1日から平成24年5月31日まで)のTOBにおける意見の内容は調査結果1~3のとおりであるが、上場会社を非公開化することを目的として行われるTOB(以下「非公開化事案」という。)においては応募を勧める旨の意見(以下「応募推奨」という。)が表明され、非公開化事案以外の事案においては応募推奨まではなされない(応募するかどうかの判断を株主に委ねる)傾向が顕著である。

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