[ポストM&A戦略]
2014年7月号 237号
(2014/06/15)
M&A のReadinessとは、M&Aを行う買い手の備えのレベルのことである。準備のないところでいきなり案件に巻き込まれるよりも、案件の始まることを想定し、準備して案件を迎える方が、良い結果が得られるであろう。また、これまで経験したのとは、スキームや規模などにおいて大きく異なる案件に取り組む場合でも、同様に事前に準備することには大きな意味がある。
今回は、M&Aに対するReadinessが求められるポイントと、Readiness向上の取り組みについて解説する。
なぜHRでなく「組織・人事」というのか
HR(Human Resource、人的資源)とはいわゆる人事のことで、HRM(Human Resource Management)は、採用、配置、動機づけ、評価、報酬、育成、異動、退社といった広い意味の人事管理を意味する。HRは、事業会社におけるポジション名や大学の学科名にも見られるように、現在世界で標準的に使われている用語である。
HRの所轄範囲は、数の多い一般社員(管理職・非管理職、組合などの対応を含む)が中心になる。さらに、一般社員の上に立つExecutiveに関する事項も、HRが担当している。但し、それは多くの人が自然に想起することではない。
筆者がHRではなくてわざわざ「組織・人事」と言っているのは、HRでは想起されにくいExecutiveの問題、そしてExecutiveの任免と一体のM&A後の組織設計、特に組織の上部構造の設計の問題を短い言葉で示唆するのが狙いである。
もう一つこれに加えて、社員の意識改革・行動改革、買い手の企業価値観(”Way”)の浸透、求められる組織能力の再定義とレベルアップ施策、人事制度統合といった組織に関するPMIのソフトな課題も、「組織」という言葉でカバーしようとしている。
これら2点については、本稿の後段で改めて取り上げる。
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