[M&Aの現場から]

2020年9月号 311号

(2020/08/17)

【ミダスキャピタル】60億円規模の旗艦ファンドを設立。2024年までに1兆円規模のグループを目指す

吉村 英毅(代表取締役/代表パートナー)
寺田 修輔(取締役/パートナー)
  • A,B,EXコース
左から吉村 英毅氏、寺田 修輔氏

左から吉村英毅氏、寺田修輔氏

 ミダスキャピタルは、2017年9月に吉村英毅氏によって設立されたファンド運用会社。20年6月に60億円規模の「ミダスキャピタル旗艦ファンド有限責任事業組合(以下「旗艦ファンド」)」を設立した。

 吉村氏は、1982年生まれ。東京大学経済学部経営学科で経営管理と金融工学を専攻し、大学在学中の03年にValcom(現エアトリに吸収合併)を創業して代表取締役社長に就任。07年に旅行会社を経営していた大石崇徳氏(エアトリ会長)とともに、航空券や旅行商品をインターネットで販売する「エアトリ」などを運営するエボラブルアジア(現エアトリ)を共同創業して代表取締役に就任した。同社は16年3月東京証券取引所マザーズ市場に上場、17年3月東京証券取引所第一部に市場変更している。吉村氏は、ミダスキャピタル設立後の19年に代表取締役を譲り、取締役CGO(Chief Growth Officer)に就任した。

 ミダスキャピタルによる投資は、旗艦ファンド設立以前から行われている。投資案件第1号は、ネット型リユース事業を展開するBuySell Technologiesで、ミダス1号ファンド(吉村英毅氏が主要出資者)とミダス2号ファンド(吉村英毅氏の親族が経営するマリンフードが主要出資者)で過半数の株式を取得。BuySell Technologiesは19年12月に東証マザーズに上場している。

 旗艦ファンド以外に、これまでに12本のファンドを設立しているが、その多くが“オーナーズファンド”と呼ばれるスキームで組成されている。(下図パターン2)

 「例えば、AI戦略事業、データテクノロジー事業、セールス・ライセンス事業を展開しているイングリウッドという会社があり、ミダス4号ファンドが株式の大半を保有しています。ミダス4号ファンドは、イングリウッドの創業経営者で筆頭株主だった黒川隆介氏に、イングリウッド株式の大半を現物出資していただいて組成されました。黒川氏は保有株式を売却したわけではありません。ミダスキャピタルと共に4号ファンドの共同GPとなり、引き続き実質的な筆頭株主として経営にあたっています。実質的な経営の支配構造は変わらず、ただし、ミダス企業群への参画によって経営人材の紹介やビジネス、ファイナンス面でのサポートを受けることで、より高みを目指していくというコンセプトです」と解説するのは、寺田修輔取締役パートナー。

 寺田氏は、東京大学経済学部卒業。09年よりシティグループ証券で株式調査業務や財務アドバイザリー業務に従事し、ディレクターや不動産チームヘッドを歴任。16年にじげんに入社し、

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