[Webインタビュー]

(2014/09/03)

【第43回】アジア太平洋地域で高まるリストラクチュアリング・事業再生のトレンドを読む

 野田 努(アリックスパートナーズ マネージングディレクター 日本共同代表)
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事業環境の悪化でリストラが増加

―― アリックスパートナーズは、このほど『アジア太平洋地域の事業再生のトレンド』(2014年版)を発表されました。これはどのような調査ですか。

「弊社では毎年、今後1年間のアジア太平洋地域におけるリストラクチャリングと事業再生の見通しに関する調査をRemark社に委託し、近年リストラクチャリングに関与したアジア地域のオピニオンリーダーの意見を分析しています。2014年版では150人のオピニオンリーダーの意見の分析結果をまとめています」

―― 全体として、アジア太平洋地域の事業再生のトレンドについてはどのような意見が多かったのでしょうか。

「13年版と同様、14年版でも事業環境の悪化がリストラクチャリング活動の増加を引き起こしているというトレンドに変わりはありません。欧米の不透明なマクロ経済動向を憂慮し、近年の中国経済の成長鈍化によってさらに懸念を深めていまして、回答者の予測は、『リストラクチャリングを成功させれば事業の破綻を阻止できる』というサバイバル重視の発想が強く表れています。一方で、企業の改革を通じて生み出すことができる潜在的な価値を認識している回答者も増加しています。回答者の多くは、事後対策ではなく事前防止的なアプローチをとることで経営の柔軟性が得られ、成功の見込みを高めることになると考えています。また、こうした考え方の変化の一部として、回答者が包括的な事業再生を重視する姿勢を示し始めていることも、今回の調査結果から明らかになりました。つまり、財務、業務および経営という企業の諸側面の問題を同時に解決するプロセスに対する関心が高まっているということです。この包括的なアプローチによって、グローバル化がますます進む中で競争を展開するアジア企業は、企業内に価値を生み出すことができるだけでなく、企業の柔軟性、すなわち、逆境に耐え、低迷から回復する能力を高めることができると考えていると言えます。

 アジア太平洋地域に特有の政治的、法的、そして文化的な課題が今後もさまざまな形で影響を及ぼし続け、ときには有利に働くことがあっても、多くの場合はリストラクチャリングプロセスに困難をもたらすかもしれませんが、事業再生を成功させるためには、各国、各業界、そして各企業が、現地の国有企業であれ、外国の多国籍企業であれ、国内の同族経営のコングロマリットであれ、それぞれの状況とニーズに見合った独自のアプローチを見出す必要があります」


 

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