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[対談・座談会]

2013年10月号 228号

(2013/09/15)

[対談] 海外M&Aを成功に導く現地トップマネジメント人材戦略

――日本企業はどこで失敗するのか

 出席者(五十音順)
 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル)
 佃 秀昭(エゴンゼンダーインターナショナル 代表取締役)

左から佃 秀昭氏、竹田 年朗氏

買収先経営者の引き留め策

-- 弊社のM&Aデータベースで見ますと、日本企業による海外企業の買収は2009年を底に3年連続で件数・金額ともに増加しています。また、大型案件も増加しているわけですが、クロスボーダーM&Aの増加とともに課題となっているのが買収後の経営および統合を任せることが出来る経営者の選定です。日本企業による海外企業買収の経験値は上がってきているものの、買収側である日本企業としては信頼できる経営者をどのように選任して経営を委ね、その経営者に対して有効なガバナンスをかけるのかということに悩んでいる企業が少なくないと思います。そこで、今回はグローバルM&Aコンサルティングのエキスパートであるマーサージャパンの竹田さんと、経営幹部の採用をグローバルに支援する経営人材コンサルティングの最大手であるエゴンゼンダーインターナショナルの佃さんに海外M&Aを成功に導く現地トップマネジメント人材戦略についてお話し合いいただきます。まず佃さんから会社のご紹介をお願いします。

 「エゴンゼンダーは1964年スイスで設立された経営人材コンサルティング会社で、世界41カ国・地域に68拠点を展開しております。経営幹部の採用を支援するエグゼクティブサーチでは世界最大手企業と言えます。日本にオフィスを構えたのは72年で、ヨーロッパ以外に構えた最初のオフィスが日本だったというだけに、日本に対する思い入れが強い会社でもあります。もともとは人材を必要とする企業からの条件をもとに適切な人材を紹介することが主体だったのですが、外部の人材を探す前に社内に適材はいませんかということで、内部の経営幹部の評価をやるようになりました。我々の場合は、外部の会社の経営者と比較した時にあなたの会社のCEOはこうですよというマーク・トゥ・マーケットで経営陣を評価できるのが強みです。

  M&A関連のサービスについては、昔からやっていたわけではないのですが、今では2パターンの依頼が増えています。1つは最近日本企業に多いのですが、買収先の経営者のデュー・ディリジェンス(DD)です。人事DDには年金制度、人事制度などいろいろなDDがありますが、その中で経営者のところを切り出して、そこを事前にキッチリ把握したい。この人がもし辞めてしまった時にマーケットに代替の人材がいるのかということを含めたご相談が増えてきています。もう1つは、M&A後の統合プロセス(PMI)の過程で買収先の経営者が辞めないようにするにはどうしたらいいのか。そこの部分で私どもがお手伝いする。従来、ほとんどそういう話はなかったのですが、最近は増えています」

竹田 「マーサーは世界40カ国、約180都市において、人材マネジメント、報酬、福利厚生、退職金・年金、資産運用分野のサービスを提供する組織・人事コンサルティングファームで、2万人以上のスタッフがおります。M&Aの専門部隊があるのが他にない大きな特徴で、基本的にはどのようなディールにも対応できる体制をつくっています。

  組織・人事コンサルティングとM&Aとの接点の第1に、組織・人事DDがあります。当該M&Aにどのようなリスクがあるのか、この案件を進めていいか、という点に関するアドバイスや、買収価格に反映させる要素の検討を行います。また、買収後にはいろいろな面倒なことがあるので、そういうものを買収前に見極めることも行います。

  第2に、買収先の経営者まわりの検討事項があります。ここでは、佃さんと大いに接点があると思います。海外企業の買収においては、日本企業はずいぶん経験を積みました。しかし、現地の経営者をすぐ取り替えてこちらの人を送り込むということができる例はまだまだ少なく、買収先の経営者がよほどダメでなければ、一旦は残ってほしいということになる。ところが、M&A時には、現地の経営者が辞めやすい状況がままあるので、残ってほしかったのに辞めてしまうということがないようにうまくリテインするところが非常に重要なポイントになります。さらに、頼んで残ってもらった経営者がこちらの言うことをちゃんと聞くようにうまくコントロールする、つまり経営者に対するガバナンスを確立するところが、ここでいう経営者まわりの仕事です。

  第3に、買収スキームによって、クロージング時に社員を転籍させることが必要になったり、買った後に組織統合を行うなど、テクニカルに難しいケースがあります。マーサーでは、これをスムーズに実現するお手伝いもしています。

  特に買収先の経営者まわりについては、こちらの動きは佃さんからよく見えると思いますが、我々の方からは佃さんの動きは見えないものですから、いったい裏で何が起こっているのか、実は興味津々で(笑)、今日はいろいろ伺ってみようと楽しみにしております」

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