経済産業省は8月4日、「第31回産業構造審議会総会」を開催し、今後の経済産業政策の重点項目と進め方をまとめた(注)。
グリーンやデジタルなどの中長期的な経済・社会課題や、長年取り組みながらも解決に至っていない構造問題に対して、5~10年かけて取り組む必要があるとの問題意識から、2022年度以降に講じる施策を網羅的にまとめた(「経済産業政策の新機軸の2つの柱」として整理、図表)。
足元では、ウクライナ情勢を踏まえた石油・天然ガスに関する対応が最重要課題となっているものの、中長期的な視点からの検討・取組を継続しつつ、足下で顕在化している経済・社会課題に応じて今後取り組む政策対応を経済産業政策の「重点」とし、8月末に提出する概算要求等に反映する。
M&A関連では、承継・創業・M&Aの促進、人材確保・能力再開発の強化、経営力再構築伴走支援及びデジタル化の促進に取り組むことを打ち出した。概要は以下、全体像は下記の図表の通りとなっている。
(注)「経済産業政策の新機軸の今後の進め方」
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sokai/pdf/031_02_00.pdf
(図表)
経済産業政策の新機軸の2つの柱 |
1.ミッション志向の産業政策 国や世界全体で解決すべき以下の経済社会課題(ミッション)について官民で長期的なビジョン・目標や戦略を共有し、政府はそのため大規模・長期・計画的支援、規制・制度・標準、外交等あらゆる政策を総動員、企業においては価値創造力を高める取組を集中的に実施する。 | 2.経済社会システムの基盤の組替え 経済社会構造の変化に対応し、経済のダイナミズムを実現し、経済成長・国際競争力強化と多様な地域や個人の価値を最大化する包摂的成長の両者を実現するために、 経済社会システムの基盤の組替えを進める。 | ①炭素中立型社会の実現 ②デジタル社会の実現 ③経済安全保障の実現 ④新しい健康社会の実現 ⑤災害に対するレジリエンス社会の実現 ⑥バイオものづくり革命の実現 | ①人材 ②スタートアップ・イノベーション ③グローバル企業の経営:価値創造経営 ④徹底した日本社会のグローバル化※ ⑤包摂的成長(地域・中小企業・文化経済) ⑥行政:EBPM ・データ駆動型行政 |
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経済秩序の激動期において取り組むべき分野 ①成長志向型の資源自律経済の確立 ②Web 3.0 の可能性と政策対応 ※「経済秩序の激動期において取り組むべき分野」のうち、「国際経済秩序の再編における対外政策」については、 「2.④徹底した日本社会のグローバル化」のなかで一体的に議論していく。 |
(出所)経済産業省