[M&Aトピックス]

(2024/07/04)

中小企業の事業承継・M&Aに関する検討会(第1回)開催~事業承継・M&Aの今後の取組の方向性を検討

 中小企業庁は6月28日、「中小企業の事業承継・M&Aに関する検討会」の第1回会議を開催した。本検討会では、中小企業の事業承継・M&Aの現状分析や課題の整理、推進に向けた基本的な方向性が議論される。なお、本検討会は昨年8月まで9回にわたり開催され、「中小M&A推進計画」の策定(2021年4月)や同計画に基づく取組のフォローアップを行ってきた「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」を改組して設置されている。

 事業承継・M&Aの主要課題と取組の方向性(案)として、以下の事項が提示された。
1.事業承継・M&Aを契機とした成長支援
① 事業承継税制の最大限の活用促進等
② 後継者支援の強化
③ 中小企業のグループ化の更なる促進
④ 連結会計等のグループ経営管理に係る環境整備
⑤ PMI(Post Merger Integration)の促進
⑥ 経営革新等に必要な設備投資等支援
⑦ エクイティ・ファイナンスの活用促進

2.事業承継・M&Aの更なる促進に向けた体制強化
⑧ 地域の支援機関の育成・サプライチェーン上の事業承継の啓発
⑨ 地方自治体との連携強化
⑩ 3機関連携の強化

3.M&Aの環境整備に向けた取組の継続
⑪ 中小M&Aガイドラインの改訂・浸透等
⑫ 仲介・FA手数料をはじめとする支援機関の透明性強化
⑬ M&Aの支援を行う者に求められる知識・能力の検討
 また、各事項の取組方針として、以下の内容が想定されている。

 「① 事業承継税制の最大限の活用促進等」では、非上場株式等の贈与税・相続税の納付猶予に関する「特例事業承継税制」の適用要件の見直しが挙げられている。具体的には、株式贈与日時点で後継者が役員に就任後3年以上経過している必要があるが、この「役員3年要件」の見直しが想定されている。このほか、第三者への事業承継を促進する税制のあり方等を検討する。

 「③ 中小企業のグループ化の更なる促進」では、中堅・中小グループ化税制の活用促進のほか、グループ化を進めるに当たっての課題精査と必要な措置を検討する。

 「④ 連結会計等のグループ経営管理に係る環境整備」では、中小企業における連結会計等のグループ経営管理の実態や課題の洗い出し、必要な対策を検討する。

 「⑤ PMI(Post Merger Integration)の促進」では、金融機関を中心としたPMI支援機関の充実や、PMI支援策の充実を行う。

 「⑦ エクイティ・ファイナンスの活用促進」では、エクイティストーリーの策定・普及促進等、エクイティ供給に関する環境整備、中小企業投資育成や中小機構出資ファンド等による「育成」支援の強化を図る。

 「⑧ 地域の支援機関の育成・サプライチェーン上の事業承継の啓発」では、事業承継・引継ぎ支援センター(以下、センター)と中小機構が連携して、地域の支援機関の育成支援を実施し、事業承継を支援するプレイヤーの裾野を広げる。また、連鎖廃業リスク等も含めたサプライチェーン上の事業承継を啓発すべく、新たに業界団体等との連携を強化する。

 「⑩ 3機関連携の強化」では、センター、中小企業活性化協議会、よろず支援拠点のさらなる連携強化を進め、早期の支援・働きかけを行う。

 「⑪ 中小M&Aガイドラインの改訂・浸透等」では、手数料の妥当性を検討する上での考慮要素や広告・営業の禁止事項の明記など、ガイドラインの改訂を行う。また、登録支援機関制度に寄せられた情報提供に対する対応の強化、センターによるセカンドオピニオン機能の強化等を行う。

 「⑫ 仲介・FA手数料をはじめとする支援機関の透明性強化」では、登録支援機関の手数料体系をはじめ、個別支援機関のサービスの質に関する開示情報の充実を図る。

 「⑬ M&Aの支援を行う者に求められる知識・能力の検討」では、M&Aに関する既存の資格、海外における資格等の調査等により、M&Aの支援を行う者に求められる知識・能力の具体的内容について検討を行う。

■中小企業の事業承継・M&Aに関する検討会(第1回)

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