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(2024/02/13)

日米証券会社の決算にみるM&Aビジネス回復の兆し

前田 昌孝(マーケットエッセンシャル主筆、元日本経済新聞編集委員)
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 振り返れば、2023年の今ごろは米中堅地銀シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻が大きな問題になっていた。破綻の要因はいろいろあるが、米金利上昇に伴う資金調達コストの増大が、SVBの顧客であるファンドのビジネスを圧迫していたことも見逃せない。証券会社のM&A助言業務にもしわ寄せが及び、関連の手数料収入も落ち込んだ。ここにきて回復の兆しが見えている。

 さまざまな投資ファンドが企業経営に混乱をもたらす嫌われ者なのか、資本市場の発展に不可欠な触媒なのかは別として、今やスタートアップの育成もM&Aも投資ファンドの存在抜きには語れなくなっている。証券会社の投資銀行ビジネスも、投資ファンドがおカネを集めやすい金融環境なのかどうかに左右されている。

米投資銀行は2ケタ減益

 日米の大手証券会社の決算発表の内容から、M&Aビジネスの近況を考えてみたい。まず米国の状況をみると、米ゴールドマン・サックスと米モルガン・スタンレーが1月16日に発表した2023年の決算は、米国の金利上昇が投資銀行業務にいかに逆風だったのかを浮き彫りにした。

 ゴールドマン・サックスは一般企業の売上高に当たる純営業収益が前年比2.3%減の462億5400万ドル、純利益が24.4%減の85億1600万ドルだった。業績がピークだった2021年は純営業収益が593億3900万ドル、純利益が216億3500万ドルだったので、それぞれ22.1%と60.6%も少なくなった(図表1)。


■ 筆者履歴

前田 昌孝

前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。 22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。

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