自社株の保有状況は時価で40兆円台
上場企業の2024年3月期決算発表が一巡したのを受けて、東証プライム上場企業の2023年度末の自社株の保有状況を点検すると、時価で初めて40兆円台に乗せたことがわかった。株式を利用したM&Aは、対象が海外企業でも可能なように会社法の改正が検討されており、自社株活用の重みが増す可能性がある。
自社株の保有状況は6月5日現在の金融を除くプライム上場企業1558社を対象に集計したものだ。個々の上場企業の決算期末の株価に、保有する自社株の数量を掛け合わせると出てくるが、期末を基準日として株式分割をした企業に異常値が出る恐れがあるため、期末の時価総額に、「発行済み株式に占める自社株の割合」を掛け合わせた。
保有現預金は10年前の3倍
買収の原資という意味では
■ 筆者履歴
前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。 22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。