[視点]

2015年4月号 246号

(2015/03/15)

成長戦略としてのスピンオフ ~コーポレートガバナンスの試金石~

 田村 俊夫(みずほ証券 経営調査部 上級研究員/一橋大学大学院 商学研究科 客員教授)
  • A,B,EXコース

欧米のスピンオフブーム

  近年、欧米で大型スピンオフの公表が相次いでいる。特に2014年には、9月末から10月上旬にかけて、イーベイによるペイパル(オンライン決済事業)の分離、ヒューレット・パッカードによるパソコン・プリンター事業の分離、シマンテックによるデータ管理事業の分離が立て続けに公表されるなど、スピンオフラッシュの様相を呈した。欧州でもフィリップス(オランダ)による照明事業の分離、バイエル(ドイツ)によるプラスチック事業の分離、エーオン(ドイツ)による火力・原子力発電事業等の分離などが公表されている。その勢いは2015年に入っても衰えることがなく、1月にはヤフーが保有するアリババ株式のスピンオフを公表し、2月にはWRグレースが建材・パッケージング事業の分離を公表している。これらの分離事業の売上高は全社の3-4割以上を占めることも珍しくなく(HPの場合は売上の5割)、まさに「会社2分割」と称すべき、トランスフォーメーショナルなディールである。

  しかし、日本では大型のスピンオフは(中外製薬による特殊例外的な事例を除き)まったく行われていない。なぜ欧米ではスピンオフが活発に行われているのか、なぜ日本経済活性化のためにスピンオフ解禁が必要なのか、そして日本でスピンオフを促進するためにはなにが必要か、本稿ではその3点につき考察する。

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