●戦後(1945年から90代半ばまで)の日本企業の経営者は、商法・証券取引法などに定められた株主の利益重視の原則をおろそかにする傾向があった。その要因は、(1)市場による規律の欠如、(2)監督する大株主の不在、(3)投資家による支配に対する抵抗感、であった。だが、その背後に、(a)発行市場の欠陥、(b)株価形成の非効率性、(c)投資家の短期的・投機的傾向、という構造的な要因がある。これらの構造的要因は、構造的要因の間の相互補完性や、経営者の株主を重視しない行動そのものが構造的要因を惹起するというスパイラル(循環的)現象によって更に強化、維持され、経営者の株主を重視しない行動を継続させた。(次頁の図参照)