[M&A戦略と会計・税務・財務]

2025年7月号 369号

(2025/06/10)

第214回 新リース会計基準と税制改正による企業経営への影響

荒井 優美子(PwC税理士法人 タックス・ディレクター)
  • 有料会員
1. はじめに

 2024年9月13日に企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」、及び企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(以下、併せて「新リース会計基準」)が公表され、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から強制適用(2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から任意適用)される。新リース会計基準に対応し、令和7年度税制改正において、対応する税制改正が行われ、2025年4月1日以後開始事業年度から適用される(法人税法、消費税法、地方税法)。

 新リース会計基準の導入に伴う企業経営への影響については、新リース会計基準公表後から、新聞報道等においても言及されており(注1)、2027年の強制適用に向けて、システムの改修等の検討も行われているところである。本稿では、税制改正の影響も考慮した、企業経営への影響について解説する。

2. リース会計基準の改正の背景

 新リース会計基準は、2016年に公表された、国際財務報告基準(IFRS)第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」)及び米国財務会計基準審議会(FASB)Topic 842「リース」(以下、「Topic 842」)で示された国際的な会計基準との整合性を図るために、2018年から企業会計基準委員会において、改正前のリース会計基準(以下、「旧リース会計基準」)の改正が検討されていたが、旧リース会計基準の改正として行うのではなく、新たな基準の開発として着手された(注2)。



■筆者プロフィール■

荒井 優美子荒井 優美子(あらい・ゆみこ)公認会計士/税理士
コンサルティング会社、監査法人勤務後、米国留学を経てクーパース&ライブランド(現PwC税理士法人)に入所し現在に至る。クロスボーダーの投資案件、組織再編等の分野で税務コンサルティングに従事。2011年よりノレッジセンター業務を行う。日本公認会計士協会 租税調査会(出版部会)、法人税部会委員。一橋大学法学部卒業、コロンビア大学国際公共政策大学院卒業(MIA)、ニューヨーク大学ロースクール卒業(LLM)。

この記事は有料会員限定です

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

アクセスランキング