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[M&A戦略と会計・税務・財務]

2021年2月号 316号

(2021/01/18)

第161回 ウィズコロナ、ポストコロナの経済政策と令和3年度税制改正

荒井 優美子(PwC税理士法人 タックス・ディレクター)
1. ウィズコロナ、ポストコロナの経済政策

 2020年12月8日、政府は「令和3年度予算編成の基本方針」と、事業規模73.6兆円の追加経済対策「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(以下、「総合経済対策」、図表1参照)を閣議決定し、与党の「令和3年度税制改正大綱」(以下、「与党税制改正大綱」)が公表された。更に12月21日、「令和3年度政府予算案」(以下、「令和3年度予算案)と「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定された。

【図表1 国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策】

 総合経済対策では、我が国の回復局面における成長率が主要先進国に比べて低く、コロナ前の経済水準に回帰する時期が遅れるとの見通しから、財政投融資を含むあらゆる政策手段を総動員した力強い経済対策を講じることで、来年度中にはコロナ前の経済水準に回帰させ、民需主導の成長軌道に戻していくことを目標として掲げている。具体的には、①新型コロナウイルス感染症の拡大防止策、②ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、③防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保、の3つを柱とし、実施のための財政支出40兆円のうち、新型コロナウイルス感染症関連の支出が約4割を占める(注1)。

 この総合経済対策も含めて、令和3年度予算案の一般会計総額は過去最大の106兆6097億円を計上し、3年連続で100兆円を超える規模となる。「感染拡大防止に万全を期しつつ、中長期的な課題(デジタル社会・グリーン社会、活力ある地方、少子化対策など全世代型社会保障制度等)にも対応する予算」(財務省 「令和3年度予算のポイント」)は、未曽有の新型コロナウイルス禍に対応するべく財政出動の拡大を図り、コロナ禍を機に構造転換を促す成長戦略を打ち出した点に特徴がある(日本経済新聞 12月21日、22日記事)。歳出の内訳は、社会保障(33.6%)、公共事業(5.7%)、文教及び科学振興(5.1%)、防衛(5.0%)、新型コロナ対策予備費(4.7%)、その他(8.7%)、地方交付税交付金等(15.0%)、国債費(22.3%)で、社会保障や地方交付税交付金等の対前年度予算比率が増加している分、公共事業や文教及び科学振興の増加割合が減少している。

 令和3年度予算案の方針として閣議決定された「令和3年度予算編成の基本方針」では、ポストコロナの新しい社会を実現するための、①行政のデジタル化や規制改革を含め、集中投資・実装とその環境整備により、デジタル社会の実現を目指すとともに、②新しい社会を支える「人」・イノベーションへの投資を強化し、③2050年カーボンニュートラルを目指し、経済と環境の好循環、グリーン社会の実現に取り組み、④活力ある地方を創るべく、中小企業の生産性向上等を令和3年度予算編成の方針の基本に据えている(図表2参照)。

【図表2 令和3年度予算のポイント】


2. 令和3年度税制改正大綱の概要

 菅政権下で初めて決定された税制改正大綱は、総合経済対策に謳われた「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」を、具体的な税制支援策に落とし込んだものである。菅政権は、その発足から安倍政権の経済方針を引き継ぐものと明言しているが(2020年10月26日 第203回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説)、2050年カーボンニュートラルの宣言や、デジタル化の改革を強力に実行していく司令塔となるデジタル庁を設立、中小企業の経営重の集約化等において、菅政権の独自性が示されていると言える。

【図表3 令和3年度税制改正大綱の基本的な考え方】

 税制改正大綱の基本的な考え方では、デジタル社会の実現の税制支援として、DX投資促進税制の創設や研究開発税制における対象の拡充、電子帳簿保存制度の大幅な見直し、グリーン社会の実現の税制支援として、カーボンニュートラル投資促進税制の創設、車体課税の見直し、中小企業の支援、地方創生の税制支援として、中小企業事業再編投資損失準備金制度の創設等を改正案に盛り込んでいる。

 又、ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生の税制支援として、上記の投資減税の他、繰越欠損金の控除特例や株式対価M&A制度の創設、国際金融都市に向けた税制措置を盛り込んでいる。

 以下では、企業の経営に関連する税制措置について解説する。


3. 投資減税措置

(1) カーボンニュートラル投資促進税制の創設

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