[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2024/01/24)

削減から再拡大に転じた銀行支店 -欧米銀行にみるリテール金融の未来

藤原 裕之((同)センスクリエイト総合研究所 代表)
  • 無料会員
  • A,B,C,EXコース
増加に転じたJPモルガンなど欧米の銀行支店数

 オンラインバンキング、フィンテック強化で削減一辺倒だった金融機関の支店戦略に変化の兆しがみられる。その象徴が米銀最大手JPモルガン・チェースの支店数の増加である。同行の支店数は2013年をピークに9年連続で減少していたが、2022年になって下げ止まり、23年からは増加に転じている(図表)。

 同行の新型店舗として注目されているのが、地域との関わりを深めることを目的とする「コミュニティ・ブランチ」である。現在は約300店あり、今後も年間約130店のペースで出店拡大する。コミュニティ・ブランチの最大の目的は地域住民とのつながりにある。地元住民向けに家計や資産運用に関するワークショップを開催、経営者向けのセミナーも実施している。従業員の約8割は地元住民で、顧客は顔なじみのいるリラックスした空間で資産運用などの相談ができる。

 新規出店を押し進めるのはJPモルガンだけではない。バンク・オブ・アメリカは23年6月、南部アラバマ州やルイジアナ州など4州に進出すると発表、全米39州で支店網を展開する。オンラインでは顧客の顔が見えず重要な顧客ニーズを逃してしまう。支店を減らす一方では銀行の存在意義そのものが問われかねない。こうした危機感が支店強化の動きにつながっている。...

■ 藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJアセットマネジメント株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、一般社団法人日本リサーチ総合研究所を経て、2020年4月より合同会社センスクリエイト総合研究所代表。株式会社東京商工リサーチ客員研究員を兼任。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
ブログサイト「藤原裕之のブログ アートとサイエンスの「あいだ」」を運営。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@sense-create.co.jp

続きをご覧いただくにはログインして下さい

この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます。

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

アクセスランキング