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(2018/12/12)

アルプス電気とアルパインの経営統合可決成立 ~オアシスとの激しい攻防とそこから得られた教訓

  2018年12月5日、注目を集めていたアルパインの臨時株主総会が開催され、親会社アルプス電気との経営統合(アルプスを完全親会社、アルパインを完全子会社とする株式交換契約承認)議案が可決された。少なくとも1年半にわたった、いわゆる「物言う株主」オアシス・マネジメント・カンパニーとの攻防は、アルパインの勝利で一応の決着がついた形だ。賛成票は73.30%と特別決議要件(3分の2以上)はクリアーしたものの、親会社アルプスの保有分40.92%を除いてみると、賛成票32.38%、反対票26.70%だ。反対票のうちオアシス保有分は9%強であり、一方、遅れて参戦した「物言う株主」エリオット・インターナショナル・エルピー(10%弱)は賛成票を投じた模様で、それらを除く機関投資家・一般株主の賛否はかなり拮抗しており辛勝と言わざるを得ないだろう。

  マールオンラインでは、11月7日付【WEBインタビュー】でオアシスのトップ フィリップ・マイヤー氏へのインタビュー記事を掲載しており、反対理由などの詳細はそちらを参照いただきたいが、要約すると、経営統合そのものには賛成だが、アルプス電気がアルパインの公正価値に比して大幅に割安な水準で買収できるような企業価値評価が行われ、そのプロセスに問題がある。要は、1:0.68という株式交換比率がアルパイン株主にとって不利だという主張だ。

  本件のような親会社による上場子会社の非公開化案件には、構造的に利益相反の問題があり、プロセスの公正性がより強く求められることは、両社ともに十分認識し、第三者委員会の設置やフェアネスオピニオンの取得など、必要な利益相反回避措置は講じていたにもかかわらず、なぜ「物言う株主」にバリュエーションの公正性を追求され、その対応に苦戦したのだろうか。

  本稿では、争点となっているバリュエーションのプロセスや各種数値の妥当性に関する専門的な議論には立ち入らず、本件の経緯を振り返りつつ、スケジュール設計上の問題点を指摘してみたい。これが問題をこじらせた要因の1つと思われるからだ。

M&Aはスピードが大事 ~決議から総会承認までは最短日程で

  アルプス電気とアルパインの共同持株会社方式による経営統合が決議、公表されたのは、2017年7月27日。アルプス電気が株式交換によりアルパインの完全親会社となった後、会社分割を活用して現在のアルプス電気とアルパインが共に純粋持株会社の下にぶら下がる、いわゆる抜け殻方式という一般的なスキームだ。この決議の時点で、1:0.68という交換比率は公表されているが、この株式交換契約が有効になるためには、株主総会の特別決議が必要で、そのための臨時株主総会は2018年12月中旬とされている。承認されれば2019年1月1日に株式交換の効力が発生し、統合が完了(クロージング)という段取りだが、株式交換契約が締結され交換比率が公表されてから、それが総会で承認され確定するまでの期間が、16カ月以上というのは異例の長さだ。

  レコフM&Aデータベースで、17年以降の株対価の上場会社同士の組織再編(株式交換・合併・株式移転)を調べてみると、株式交換(合併・移転)契約を締結・公表してから株主総会までの期間は、本件を除く33事例中32事例が3カ月以内だった。上場会社の総会招集事務を考えると、ほぼ最短の日程で総会の承認を得て、契約(交換比率等)を確定させていることが分かる。

  変化の激しい時代、何が起きるかわからない。早々に総会の承認を得て契約を確定させ、安心してクロージングに向けてひた走る。そういうスピード感が必要だ。特に合併や共同持株会社の場合は総会からクロージングまでの間にやるべき仕事は多い。「day1」から合併新会社や共同持株会社として機能させ、M&Aの目的達成に向けて邁進できるように体制を確立する必要があるからだ。

  さらに、両社が上場会社の場合は…

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