米国において特別買収目的会社(
Special Purpose Acquisition Company=SPAC)の新規公開(IPO)が急増している。SPACは、特定の事業を持たずに未公開企業・事業を買収することだけを目的にした投資会社であり、IPOを行うことで上場し、その調達資金で未公開の企業・事業を買収する。買収された企業が存続会社となりそのまま上場会社となる仕組みである。SPAC自体が上場する時点ではまだどういった企業を買収するかは決定しておらず、いわば、企業買収を行う「箱」として上場することになる。「ブランク・チェック・カンパニー(白紙の小切手会社)」と呼ばれることもある。
こうしたSPACに買収されることのメリットは、IPOを考えている企業にとっては上場手続きが通常のプロセスを経るよりは簡単で短期間で終了する点である。スタートアップ企業にとって通常のIPOプロセスを経ると、審査条件が厳しいとか、審査に時間がかかるなど障害が多いがこのスキームを使うことで上場までの時間を大幅に短縮できるわけだ(投資家保護のためのルールとして、SPACは上場から1年半以内に買収を公表して2年以内に完了させなければならないので迅速に案件が進む可能性が高い)。また、...