[M&Aスクランブル]
(2014/09/24)
本年2014年9月3日に、東京証券取引所はライツ・オファリングによる資金調達に利用されている新株予約権証券の上場基準を見直した。ノンコミットメント型ライツ・オファリング(以下「ノンコミットメント型」という)について、証券会社による引受審査に準ずる審査を受けるかまたは、株主総会決議などによる株主の意思確認を得ることに加え、2年間経常赤字でないことかつ債務超過でないことを新株予約権証券の上場要件とするなど、今後の実態の変化を見る必要はあるが、厳しい内容の見直しとなっている。この見直しは、7月25日に公表された「我が国におけるライツ・オファリングの定着に向けて」(東京証券取引所「上場制度整備懇談会」)の提言(以下、「提言」という)を受けたものだ。
「提言」で示されたノンコミットメント型の現状分析は非常に興味深く、驚くところも少なくない。要約すると以下の通り。
(1) | 2014年6月末までに公表されたライツ・オファリング25件のうち、コミットメント型は3件に過ぎず、22件(88.0%)がノンコミットメント型である。 | |||
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(2) | ノンコミットメント型22件について見ると、 | |||
① | 業績の優れない会社が利用する傾向が明らかである(純損失計上63.6%、債務超過18.2%、無配63.6%)。 | |||
② | 権利行使率が平均78.2%と、従来型の株主割当増資事例に比較して顕著に高い。 | |||
③ | 新株予約権の売買回転率が平均137.9%と100%を上回り、従来型の株主割当増資における新株引受権証書の売買がほとんどされなかったことと対照的である。 | |||
②と③を総合すると、新株予約権の売買が活発で、かつ、権利行使割合が高いということは、新株予約権を割り当てられた株主以外の第3者(市場で予約権を取得した者)による権利行使が盛んに行われていると推測できる。 |
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