[M&Aトピックス]

(2021/02/03)

KPMG、2020年下半期のアセアンM&Aのトレンドを公表

 KPMGではディールアドバイザリーの現地メンバーが、アセアンM&A市場で生じている事象や各業界の動向、さらには各国主要案件情報などをとりまとめた「ASEAN M&Aのトレンド」を定期的に公表している。この度、2020年下半期についてのレポートが公表された。

 同レポートによると、コロナ禍の影響により、2020年上半期のアセアンM&A市場は低迷したものの、アセアン加盟各国は下半期に外資誘致の取り組みを再開し、また、東アジア地域包括経済協定(RCEP)が合意に至るなど、活発な経済連携に牽引される形で、M&A市場も下半期に勢いを取り戻している。

 2020年7月から12月までのアセアンにおけるM&Aは、公表ベースで159件、取扱総額約225億米ドル(約2兆3,389億円)となった。四半期別では、M&Aが減少した第2四半期の28億米ドル(54案件)に対し、第3四半期は84億米ドル(70件)、第4四半期141億米ドル(89件)と増加基調に転じている。

 国別では、上半期を牽引したインドネシアやマレーシアのM&A件数が減少した一方で、シンガポールが55件と全体件数の約35%を占め、コロナ禍の封じ込めの状況がM&A件数にも反映している。

 また、下半期で特筆すべき点として、買い手国、特に欧米諸国の動向が挙げられており、159件のうち買い手が欧米企業であるM&Aは41件と、上半期の21件から大幅に増加している。41件中21件はシンガポール企業を対象としたものであったが、シンガポールはアセアンの中でも特に厳格な管理でコロナ禍を封じ込めたことや、英語のビジネス環境が整備されていること等が奏功し、リモート環境下においても欧米企業のM&A意欲を高めた要因との分析がなされている。

 なお、2021年の展望として、今後もアセアン域内のみならず、米国、中国、欧州、日本、韓国等をはじめとするアセアン域外からのあらゆる手法を用いたM&Aは、不動産・インフラ(ライフサイエンス含む)・建設、TMT(Telco,Media & Technology)、消費財、先端製造業を中心にさらに加速していくことが予想されるとの見方が示されている。

■KPMG

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