[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]
2016年7月号 261号
(2016/06/15)
1. はじめに
本年3月にキヤノンが医療機器大手の東芝メディカルシステムズ(以下「東芝メディカル」)を買収することが正式に発表された。取引形態が特殊であったことから注目を集めたが、それ以上に、6655億円という買収金額であり、2015年3月期の東芝メディカルの純利益が159億円であったことからすると、希少性の高い案件であることを考慮しても、高い評価でキヤノンが取得した結果となった。キヤノンは、複写機、カメラ、産業機器等の事業から構成される国内有数のトップ企業であり、従来から10%程度の営業利益率を安定的に稼ぎ出す企業体であるにもかかわらず、新たな成長分野としてヘルスケア分野を選択し、当該分野に大型の投資をおこなったことになる。ヘルスケア分野のうちでもとりわけ医療機器産業は、国内外における医療ニーズの増大から成長性が見込め、日系企業の活躍の余地も十分残されている大型分野といえる。本稿では、医療機器分野における業界状況を俯瞰したうえで、成長期待の高い同分野でのグローバルプレイヤーへの飛躍を目指したM&Aの活用可能性について考えることとしたい。
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