[視点]
2014年6月号 236号
(2014/05/15)
問題の所在 | |
1. | タイトルの「資本市場と公共政策」とは東大の公共政策大学院と法科大学院の合併授業の講座名である。金融規制を専門とする公共政策大学院客員教授の方(注1)と弁護士実務家である筆者の二人三脚を原則とし、担当教員の他、外部の専門家による講演、学生の発表を通じて、双方向で議論を深めるというのが授業の狙いである(注2)。 |
2. | この授業が対象とする主なテーマは国際金融規制についてであるが、今までに、サブプライムローンの証券化問題に端を発するとされる米国発の国際金融危機、さらに欧州金融危機と続いたことから、授業における議論では自ずと、市場の規律に委ねる考えと規制を必要とする考えの対立という軸が形成されやすくなる。しかしながら学生に問いかけてきたのは、果たしてこうした二項対立的な見方が妥当か、適切な規律・規制とは何かということである。 |
3. | 実際、未だ現在進行形の規制の流れは、金融危機の再発を防ぐという大義名分のもとさらに強化の一途をたどり、バーゼル委員会等による自己資本規制やその他規制の枠組みに加え、欧米の規制当局は破綻処理や自己資本規制、流動性規制などそれぞれその適用の拡大を図り、あたかも規制強化の競争をしているかの観がある。元来、欧米の金融危機とは距離をおいてきた日本の金融機関にとって、こうした規制強化の流れをグローバリゼーションとして受容すべきか、そもそもいかなるスタンスをとるべきか、というのも学生に問いかけてきたテーマである(注3)。 |
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