[マールインタビュー]
2015年4月号 246号
(2015/03/15)
[1]企業結合法制の意義と改正の仕上がり
-- 会社法の施行が5月に迫りました。親子会社法制(企業結合法制)の改正が行われますが、そもそも親子会社法制とはどういうものですか。
「何をもって親子会社法制というかについては、これまでいろいろな言い方がされていると思います。ドイツ法のような体系的なものをイメージしているものもあれば、一方で親会社株主、子会社株主、その他諸々の利害関係者の保護の観点から考えられているものもあります。私自身は、親子会社法制とはこういうものだという定見があるわけではありません」
-- どうして今回、この問題に取り組むことになったのですか。
「法務省は、平成10年に『親子会社法制等に関する問題点』で、親子関係を創設するための手続きや親子会社をめぐる株主などの保護の問題点をとりまとめています。前段の親子会社関係を形成する手続きについては、今までに株式交換などの改正をしてきています。ところが、後段の親子会社関係が成立した後の問題については、これまで商法改正や会社法制定の都度、少しずつ取り組んできたのですが、あまり手がつけられていませんでした。親子会社に関する法制の整備については、平成17年の会社法案の国会審議でも衆参両議院の法務委員会で企業結合法制について検討を行うように附帯決議がされました。また、持株会社等に関して株主権の縮減と言われる問題なども指摘されていたこともあって、今回、本格的に取り組むことになったのです」
-- 親子会社の法制の整備が遅れたのは、どうしてですか。
「親子会社といっても、法人格は別々です。事業部門ではなく、子会社という形をとるのには、それなりの企業戦略があるわけで、事業部門と同じように考えることはできません。法人格の壁を乗り越えて、親会社やその株主がどこまで子会社のことに関与できるのか、どこまで監督すべきなのか、といったことを考えていくと、なかなか難しいところがあります」
-- それで、今回、どんな問題に取り組んだのですか。
「これまで個別論点として指摘されていた問題に取り組みました。親会社株主保護を中心に、子会社株主保護、さらに企業結合の形成過程の合理化などの問題です」
-- 仕上がりについて何点ぐらいをお付けですか。
「自分で100点満点というわけにはいかないし、自分で落第点というわけにもいきません(笑い)。お答えするのは難しいのですが、現時点でできるところは、やらせていただいたつもりです。特に重要性が高い論点については、100点満点とは言えないかもしれませんけど、何らかの手を打てたのではないかと思っています」
-- 法制審議会会社法制部会長だった岩原紳作教授は、企業結合法制の改正の内容について、「誠に細やかなもの」とか「限定的」とか抑制的な評価をされています。参事官と違いますね。
「岩原先生に直接お聞きしたことはありませんので推測ですが、論点として採り上げながら改正には至らなかったものもありますし、また、もっと大きな視点から、いろいろなことをお考えなのではないでしょうか。今回は個別論点への対応という形になっていますので、体系的なところに手がつけられなかったというお気持ちがおありになるのかもしれません」
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