[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2015年5月号 247号

(2015/04/14)

ローソン傘下で新たな成長を目指す成城石井――丸の内キャピタルと組んでどう変身したか

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スーパー事業拡大を狙うローソン

原 昭彦氏  ローソンは、2014年10月31日付で丸の内キャピタルから高品質スーパーの成城石井の全株式を譲り受けた。株式取得額は363億円、有利子負債を含めた総額は550億円強と見られている。

  小売業界は14年4月の消費増税後、苦戦を強いられているが、コンビニ業界も例外ではない。同業界では、最大手のセブン‐イレブン・ジャパンの独走態勢が続いており、2位のローソン以下のコンビニ大手を中核とした業界再編は必至との見方が強い(本誌2015年3月号「産業新地図」参照)。実際、コンビニ業界3位のファミリーマートと、同4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(GHD)が経営統合を目指すことで合意。16年9月をめどにファミリーマートがユニーGHDを吸収合併し、コンビニ事業を集約する動きに出た。

  一方のローソンは、14年2月にスーパー「ローソンマート」の展開を始めたほか、8月にはシネマコンプレックス(複合映画館)国内3位のユナイテッド・シネマを買収するなど事業の多角化を進めている。成城石井の買収は、その多角化戦略の一環である。ローソンは買収後も「成城石井」の店名は残す方針で、役員は派遣せず、現経営陣のもと、ローソンがコンビニで培った出店や物流、商品管理などの運営ノウハウを提供して成城石井を核にスーパー事業を拡大し、ほかのチェーンにはない収益源に育てるのが狙いだ。

  成城石井の13年12月期業績は、売上高544億円、営業利益33億円。これまでも、その高い成長力で注目されてきた。同社の創業は1927年。小田急線の「成城学園前」駅の果物店からスタートした。その後、食品スーパーマーケットに業態を転換したが、牛角などを傘下に持つレックス・ホールディングス(HD)が、04年10月に当時の石井良明社長など創業者一族から66.7%の同社株式を買収。さらに、株式交換により06年2月に完全子会社化した。その後、レックスHDは外食事業に集中するため、09年12月傘下のエーエム・ピーエム・ジャパンの株式をファミリーマートに売却したのに続き、11年5月末には成城石井についても丸の内キャピタルが運営するファンドに売却した。

成城石井の沿革

  丸の内キャピタルは、三菱商事と三菱UFJ証券ホールディングスの折半出資により08年4月に設立されたプライベート・エクイティ運営会社。投資ファンド「丸の内キャピタル第一号投資事業有限責任組合(総額1000億円)」を運営しており、これまでに、玩具メーカーのタカラトミーやホームセンターのジョイフル本田、自動車部品メーカーの山本製作所への投資実績を持っている。

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