[寄稿]

2015年11月号 253号

(2015/10/15)

企業戦略論の歴史とM&Aトレンド - 日本企業に戦略はあるのか? -

 マール企業価値研究グループ
  • A,B,EXコース

  成熟し縮小する日本市場での将来展望を見いだせない企業は、業界再編やクロスボーダーなどのM&Aを通じて持続的な成長を図ろうとする。経営者が成長に駆られる理由として、株主や従業員などさまざまなステークホールダーの期待の高まりや競争優位性の確保に向けたスケールメリットの追求などが考えられるが、成長そのものが株主価値を増大させるわけではない。すなわち、買値が高すぎたり、期待していたシナジーやコスト削減などの統合効果が実現できなければ、成長が株主価値を破壊することになる。昨今、M&Aを成功に導くカギとして、PMIの重要性が多く語られている。プレミアムを付けて買収すれば初めからマイナスのスタートであり、プレミアムを正当化し、資本コストを上回る価値を生み出すには、M&A後の統合作業に力点を置くべきなのは当然だ。しかし、そもそもなぜその事業を買収する必然性があるのかといった「戦略」の重要性も忘れてはならない。

  アメリカの企業戦略論の発展史において、コンサルティング会社やビジネススクールの教授らが、その時代に合ったさまざまなコンセプトや理論を編み出し、企業経営陣の戦略的思考に大きな影響を与えてきた。本稿では、BCG MatrixやFive Forces、Core CompetenceやValue Netなどの企業戦略論の代表的フレームワークが、当時アメリカで流行したM&A戦略をどのように正当化してきたかを検証するとともに、現代の日本企業の戦略に参考となる考え方についても簡単に触れてみたい(注1)。

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