[寄稿]
2016年9月号 263号
(2016/08/15)
I.はじめに
近年の一連のコーポレートガバナンス改革の動きは、目を見張るものがある。
主要なものだけでも、2014年2月のスチュワードシップ・コードの策定、2015年6月のコーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」という。)の適用開始に続き、2015年7月には経済産業省から、コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会の報告書(以下「在り方研究会報告書」という。)(注1)が発表されている。また、2015年9月からは金融庁及び東京証券取引所が設置したスチュワードシップ・コード及びCGコードのフォローアップ会議(以下「フォローアップ会議」という。)において、コーポレートガバナンスの更なる充実に向けた議論・提言がなされている。
これらのうち、特にCGコードが定めている原則及び考え方は、M&A取引にも直接・間接に様々なインパクトをもたらすものである。通常、M&A取引は、CGコードで謳われている会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上や、収益力・資本効率等の改善を目的として行われるものである。その意味で、CGコードが目指しているといわれる「攻めのガバナンス」は、本質的には日本企業によるM&A取引を後押しすることにつながるものと思われる。
本稿においては、日本の上場会社の未だ多数を占める監査役会設置会社を念頭におき、CGコードを中心とするコーポレートガバナンス改革がM&A取引実務に与える影響について、概観することとする。
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