[視点]
2017年1月号 267号
(2016/12/15)
コーポレート・ガバナンス論とコースの定理
企業における株主主権の確立と強化、それは今や日本におけるコーポレート・ガバナンス論の主潮流になった感がある。株主主権の強化を通じて企業のチャレンジ精神を高め新たな雇用を生み出したい、そうすれば日本経済の停滞も打破されるに違いない。そうした期待が議論の背景にあるのだろう。
しかし、株主主権は本当に企業価値を増大させるのだろうか。また、それは日本に豊かさをもたらすものなのだろうか。実は、それは単純に言えることではないのだ。
【ステークホルダーの立場を図解する】
まずは状況を整理しておこう。一般論として、企業が積極的にリスクを取って大胆な経営をするとともに、株主が得る利益も大きくなるとしよう。ただ、それには限界があって、企業が持てる経営資源の限度を超えて大胆なことをやっても、利益よりも倒産等から被る損失の方が大きくなる。そう想定するのである。これは常識的な状況設定だろう。
一方、従業員は企業経営が大胆度を増すと、損失だけが大きくなると感じているとする。従業員は自身が持てる時間と能力を売って給料を得るという契約を企業と取り交わしているのだから、彼らが受け取る給料の水準は彼らの提供する時間と能力に依存するのが労働市場の本来の姿だからである。
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