黒字予想から一転 コニカミノルタは5月10日、2023年3月期の連結最終損益が1050億円の赤字となったと発表した。従来の収益予想は55億円の黒字。今回の赤字の原因は、過去にM&Aで買収した子会社に係る
のれんや無形資産の減損損失の計上とされている(注1)。
報道によると、特に2017年に産業革新機構と共同で、約900億円で買収した米カルフォルニア州の遺伝子検査会社、アンブリー・ジェネティクス(Ambry Genetics Corporation)の業況悪化が主因のようだ。コロナ禍で遺伝子検査の需要が想定通り伸びなかったことや製薬会社での治験が大幅に遅延したことが業況悪化の原因と思われる。
M&Aに係るのれんの巨額な減損は、過去から繰り返されてきた。日本企業ののれんの巨額減損では、キリンホールディングスのブラジル「スキンカリオール」(2015年12月期)や、東芝による米国「ウェスチングハウス」(2016年3月期)、日本郵政によるオーストラリア「トール・ホールディングス」(2017年3月期)などが代表例として有名だろう。これらの事例は、原因は様々だが、決算上、数百億円から数千億円の赤字要因となり、そのインパクトから、大きく報道されることになる。…