[視点]
2016年9月号 263号
(2016/08/15)
6月23日に野村證券が公表したレポートによると、2015年度の上場会社の「株式持ち合い比率」は過去最低を更新したという。株式の持ち合い関係の解消は、換言すれば浮動株の増加といえる。それによって企業の支配権を獲得するためのM&Aが以前と比べて活発化する可能性がある。上場会社の支配権の獲得はTOBを通じて行われるのが一般的であるが、本稿ではTOBにおける買収プレミアムのうち支配権獲得のために提供されるプレミアムの抽出を試みる。
M&Aの買い手企業にとっては、買付価格は低いほど望ましいが、買付価格が低すぎると目標とする株式数を買い付けることが困難となる。M&Aにおいて買付価格は、その成否を左右する重要な要素である。上場会社を対象としたM&Aにおいて、買収企業が提示する買収価格と被買収企業の市場価値(時価総額)との差額を買収プレミアムと呼ぶ。通常、買収プレミアムは30~40%程度といわれている。つまり、株価が100円の企業に対し、130円から140円で買付け提案をするのが平均的な買収となる。買収プレミアムの中には、その会社の支配権獲得への対価が含まれている。この支配権をより詳細に説明したのが図1である。
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