M&Aが増加し、
PEファンドによる企業買収も盛んになる中、日本の
LBOファイナンス市場にも様々な変化が生じている。地域金融機関の参入が相次ぎ、金融機関間の競争環境も以前とは様相が変化しつつある。そうしたなか、貸出金利・競争環境の近時の動向のほか、不同意買収時や事業会社によるLBOファイナンスの活用状況や買収SPCの上位階層に設立された持株会社(HoldCo)へのファイナンスのあり方といった、LBOファイナンスの気になるポイントについて、長年にわたり同業務に取り組んでいるあおぞら銀行常務執行役員の中里弘樹氏に最新の動向を聞いた。
総勢28名のチームで運営、大和証券グループとは連携開始
―― あおぞら銀行の事業ファイナンス部は現在、どのような体制を整えていますか。
「LBOファイナンスに取り組む事業ファイナンス部は、総勢28名のチームで運営しています。フロント部門には13名、モニタリング部門に8名、アドミニストレーション部門に7名が所属しています。年間で約140件の案件を検討し、そのうち25件前後にコミットメントをしています。その中で、実際にクローズするのは10数件程度です。
3メガバンク等と比較するとかなり少人数ですが、プロフェッショナルが揃っています。近年は特にモニタリングに力を入れており、法人営業や管理回収で実績を持つ幹部を配置するなど、専門的かつプロアクティブな管理を行っています。
フロントにはLBOファイナンスの経験者を増員したほか、モニタリングチームからも人員を増やしています。また、PEファンド向けLP投資を専門に行うチーム(3名+1名の管理職(兼務))も設置しています。
一方、アドミニの部隊は単なる事務部門ではなく、膨大な契約書類を整理する重要な役割を担っています。こうした専属のアドミニ部隊を持っているのは、大きな特徴の1つです。
また、地域金融機関との連携にも力を入れています。特にLBOファイナンスに着目している地域金融機関からトレーニーを受け入れていて、昨年度は1行、今年度は2行からの受け入れ実績があり、現在も数行からトレーニー派遣の相談を受けています」
―― 大和証券グループと資本業務提携を行いました。LBOファイナンスの分野における具体的な連携内容はどのようなものですか。
■中里 弘樹(なかざと・ひろき)
1992年日本債券信用銀行入行、2016年7月事業ファイナンス部担当部長、2018年7月事業ファイナンス部長、2020年7月執行役員事業ファイナンス部長、2021年7月執行役員事業法人営業副本部長兼事業ファイナンス部長、2022年4月執行役員事業ファイナンス本部長兼環境ビジネス本部長兼環境ファイナンス部長。2023年7月より常務執行役員、2024年4月より現職。