[M&Aトピックス]

(2020/12/14)

2021年度税制改正大綱決定、株式対価M&Aや中小企業の再編を促す税制を新設

 自由民主党・公明党は12月10日、2021年度税制改正大綱を決定した。同大綱は、「1. ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生」「2. デジタル社会の実現」「3. グリーン社会の実現」「4. 中小企業の支援、地方創生」「5. 経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」「6. 経済のデジタル化への国際課税上の対応」「7. 円滑・適正な納税のための環境整備」の7つの柱からなっており、M&Aに関連する事項としては、以下の2つが挙げられる。

(1)株式対価M&Aを促進するための措置の創設
 事業ポートフォリオの見直しなど、企業価値向上のための事業再編が重要な課題であるが、今改正では、自社株式を対価として、対象会社の株式を取得するM&Aについて、対象会社株主の譲渡損益に対する課税が繰り延べられることとなる。
 また、自社株式にあわせて金銭等を交付するいわゆる混合対価を一定程度認めるとともに、期限の定めのない措置とされている。

(2)中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設
 中小企業の生産性の向上は、現政権の重要課題の一つである。経営資源の集約によって生産性向上を目指す計画を策定し、政府から認定を受けた中小企業が、買収先の中小企業の株式を取得した後に簿外債務や偶発債務などが明らかとなるリスクに備えて、買収費用の一定割合を準備金として積み立てたとき、損金算入が認められることとなる。
 また、M&Aに伴う設備投資の税優遇や買収後の雇用の継続を促す制度も導入される。

2021年度の税制改正大綱は、月内に政府が閣議決定し、来年1月召集の通常国会に関連法案が提出される見通しである。

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