[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2022/08/10)

世界的な楽器人気で業績好調の国内楽器メーカー ~ 楽器人気はライブの復活にも寄与

藤原 裕之((同)センスクリエイト総合研究所 代表)
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業績好調の国内楽器メーカー

 国内楽器メーカーの業績が好調だ。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大による供給不足や楽器販売店・音楽教室の休業等で業績は悪化したが、21度年は巣ごもり需要を背景に業績は好調に転じている。

 業界最大手ヤマハの楽器部門の21年度(21年4月-22年3月)の売上収益は前期比15.6%の増収となり、19年度と比較しても+2.5%とコロナ禍以前の水準を上回った。ローランドの21年度(21年1-12月)売上収益は前期比25.0%(19年度比+26.5%)、河合楽器製作所の21年度(21年4月-22年3月)の売上収益も前期比+26.9%(19年度比+20.2%)と好調だ。

 楽器別では自宅で手軽に演奏できる楽器が人気を集めている。巣ごもり演奏の定番ギターを筆頭に、電子ピアノや電子サック スなど「電子楽器」の需要が高い(図表1)。電子楽器に特化してきたローランドは、電子ピアノや電子ドラムなど幅広い製品で売上が伸びた。電子楽器だけでなくアコースティックも堅調だ。河合楽器製作所のグランドピアノ「シゲルカワイ」は21年のショパンコンクールで使われたことも手伝って人気を集めた。

図表1 「楽器」販売数量の推移


海外で稼ぐ国内楽器メーカー

 コロナ禍の巣ごもり生活で火が付いた楽器人気は世界的な現象である。国内楽器メーカーの業績は好調な海外市場に支えられている。日本から海外への楽器輸出額は21年から急増し、22年5月の楽器輸出額は2009年以来の水準に達している(図表2)。グラフをみただけでも、21年以降の楽器人気が20年の落ち込みからの反動増ではないことがわかる。今の世界的な楽器人気は一時的ではないということだ。

図表2 「楽器」輸出額の推移
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■ 藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、一般社団法人日本リサーチ総合研究所を経て、2020年4月より合同会社センスクリエイト総合研究所代表。株式会社東京商工リサーチ客員研究員を兼任。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
ブログサイト「藤原裕之のブログ アートとサイエンスの「あいだ」」を運営。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@sense-create.co.jp

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