名古屋に本拠を置く「投資事業会社」セレンディップ・ホールディングス(HD)は、自動車部品やハイテク部品といった「ものづくり企業」を中心に企業買収を続けている持株会社だ。HDはグループ企業のバックオフィス機能を「シェアード化」するとともに、製造現場のDX化・省人化を進め、様々なノウハウを傘下のグループ企業に提供している。2021年6月には東証マザーズに上場した(2023年3月期の業績予想は、売上高が155億円、営業利益が3.6億円)。セレンディップHDとして今後も、年間1~2社程度の企業買収を続けていきたい方針だ。経営戦略やPMIの勘所を竹内社長に聞いた。
―― 中小の製造業のM&Aを積極的に行う「事業投資会社」を名乗っています。戦略の基本的な方針や考え方を教えてください。
「『100年企業の創造』『経営の近代化』というミッションを掲げています。一般的にものづくり企業は業態が古く、時代の変化に柔軟に対応することが困難になっています。労働集約型の企業も多く、過去から受け継いできた過剰なまでの職人気質が、いまの日本の製造業の根幹にあり、その結果として経営の足を引っ張るかたちとなっています。
このままだと日本のものづくりは、世界から取り残され、ますます厳しい状況に追い込まれるでしょう。過去に固執しすぎた結果、新しい技術や手法をなかなか取り込めなくなっているからです。経営者や技術者の高齢化=ビジネスモデルの高齢化であり、これらが制度疲労の原因だと考えています」
(図表)セレンディップHDの組織図
セレンディップグループ
社名 | セレンディップ・ ホールディングス | セレンディップ・ テクノロジーズ | セレンディップ・ フィナンシャルサービス | 天竜精機 | 佐藤工業 | 三井屋工業 |
事業 概要 | プロ経営者派遣 | 設計・開発エンジニア、ソフトウエア開発・販売・保守 | 投資・金融アドバイザリー事業 | 自動化装置製造業 (FA装置) | トランスミッション精密部品の製造 | 自動車内外装部品製造 |
従業 員数 | 31名 (22年3月末時点) | 87名 (22年3月末時点) | 6名 (※ホールディングスより出向) | 104名 (22年3月末時点) | 84名 (22年3月末時点) | 215名 (22年3月末時点) |
(注)セレンディップ・テクノロジーズ株式会社は2021年4月に株式会社サンテクトと株式会社エムジエクが合併し社名変更
(出所)セレンディップHD
ニッチで参入障壁が高い分野に着目