日創グループ(福岡市・東証スタンダード)は、M&Aを成長戦略の最重要施策と位置付け、主に事業承継に課題を抱える企業をグループ化している。現在は概要資料(ティーザーを含む)ベースで年間約1000件超のM&Aの情報を入手しており、その中から既存事業とのシナジーもしくは新規事業に関連する案件を検討する。M&A後は販路・仕入先の共有や原価管理を含めた経営管理体制の構築支援を通じて事業シナジー創出を目指す。取り組みの詳細を聞いた。
2014年頃からM&Aの本格的検討を開始
―― M&Aに関する基本的な考え方・方針について教えてください。
「M&Aは成長戦略における最重要施策です。
当社はもともと、金属加工事業を主力としていました。しかし、単一事業では景気の波や業界動向の影響を受けやすく、設備投資や拠点増設だけでは経営基盤の安定化が困難でした。
そこで、金属という素材を加工する過程で培った生産管理・原価管理のノウハウは、他の素材にも応用できるはずだとの結論に至りました。自社だけでは対応できない精密切削や、金属以外のゴム、木材、プラスチック等の多様な素材の加工技術を持つ企業と連携することで、グループ全体の力を底上げできると考えたのです。
この方針のもと、2014年頃からM&Aの本格的検討を開始し、2016年にゴム加工会社をグループに迎えたことを皮切りに、継続的にM&Aを実行しています。M&Aの目的は、互いの販路・仕入先を共有して新たな顧客層へアプローチする事業シナジーの創出と、当グループの原価管理を含めた経営管理体制の構築支援を通じてグループ全体の収益性を高めるノウハウの横展開です」
■小田 浩之(おだ・ひろゆき)
1981年生。2012年6月アイ・ケイ・ケイに入社。2017年3月、日創プロニティ(現・日創グループ)に入社。2023年2月ニッタイ工業取締役管理部長、2024年8月同社取締役管理本部長(現任)に就任。2024年10月より大鳳およびフォームテックスの取締役統括本部長を兼任。2025年6月、日創グループ執行役員経営管理部長(現任)および泉製作所取締役(現任)に就任。